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福島をつくる(31) 第2部 スポーツの力 住友ゴム工業白河工場 ダンロップソフトテニス部

工場敷地内のコートで練習内容を打ち合わせる選手と大槻(右)

〈地域密着で逆境克服〉

 白河市で自動車タイヤなどを生産する住友ゴム工業白河工場のダンロップソフトテニス部は女子の日本リーグに参戦し4年目を迎えた。4月には3人が加わり、選手は8人に増える。監督の大槻三喜(みき)=(52)=は「今季は個人、団体とも過去最高の結果を残したい」と決意を新たにする。
 全員が他の従業員と同じ時間帯に働き、午後5時から3時間、敷地内の屋外テニスコートでラケットを振る。雪の降る冬場は市内の白河中央体育館や西郷村民体育館などで汗を流す。
 平成21年5月、東北初の実業団チームとして発足した。実業団リーグですぐに頭角を表し、24年2月に日本リーグに昇格した。昨年は8チーム中、5位に入賞した。主力の原野亜衣(21)と小谷菜津美(19)が日本代表入りを目指す。

 順調ではなかった。23年3月に起きた東日本大震災で、工場は地割れや液状化などの被害を受けた。3面あるコートにもひびが入った。被害の小さいコートの脇でラケットを握ったが全力で打てない。近くの体育館を借り、工夫して練習した。発生から約1カ月後に大会に出場し、逆境をばねにポイントを重ね実業団リーグ連覇を果たす。
 困難は続いた。東京電力福島第一原発事故による風評が選手獲得を妨げる。
 女性は18~20代中盤がピークとされ、多くが20代後半で現役を退く。チームは数年単位で選手が入れ替わる。大槻は全国を巡り、卒業を控える高校生、大学生の勧誘に奔走した。放射線への不安から「福島にある」というだけで敬遠された。大槻は安全性や練習環境、待遇面などを熱心に説き続けた。生徒らの反応が少しずつ変わった。

 チームは若い世代の競技人口拡大と競技力の底上げに力を入れる。福島市では今月21日に県選抜の中学生に技術や勝負どころの動きなどを教えた。3月1日には西郷村で県南地域の児童、生徒を指導する。工場は昨年、操業開始40周年を迎えた。チームも地域密着を大切にする。
 震災と原発事故の影響を受けた東北唯一の実業団チームとして全国から注目されている。大槻は選手を鼓舞する。「好成績を挙げ福島や東北を元気にしよう」
 県内のプロ・企業スポーツの選手は被災者の思いを背負い、戦う。活躍が県民の心の復興につながると信じている。(文中敬称略)

=第2部「スポーツの力」は終わります=

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