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【3.11から4年】「除染」森林線量低下 復興の鍵

川内村の山林で行われている林野庁の実証事業。山肌に砕いた木材を敷き、放射線量の低減効果を調べる

 東京電力福島第一原発事故によって拡散した放射性物質を取り除く除染は、本県の復興に欠かせない。避難区域外の住宅や道路などの除染が進む中、森林の除染が大きな課題として浮上してきた。国は具体的な方針を示さない。放射性物質に汚染された森林環境の回復と林業再生のめどが立たない。林業関係者からは「森林除染は遅々として進まない。この先も棚上げされるのか」と不安の声が上がる。また、政府は除染による被ばく放射線量の長期的目標を「年間一ミリシーベルト以下」と設定。昨年になって、その基準について「空間線量からの推計値」より「個人被ばく線量の実測値」を重視する姿勢を示した。突然の方針転換に、市町村からは戸惑いの声が漏れる。

■進まぬ現状不安の声 国が効果的な方法研究

 除染を主管する環境省は、放射線の人体への影響を考慮し、民家や農地の周辺約20メートルの森林除染を実施している。川俣町や広野町、川内村で行った実証事業の結果を踏まえ、20メートル以上奥に入った森林の除染は「効果が極めて限定的」と判断したためだ。例外として谷間にある線量の高い居住地の周辺の森林、人が日常的に立ち入る森林などは個別に対応している。

 広大な山林を市街地と同じように除染するのは極めて困難とされる。原発事故前まで林業が営まれていた山深い森林の再生については、林野庁が主体となって放射性物質の低減や拡散防止などを担う。効果的な除染方法の研究は両省庁が連携して進めている。

 林野庁は昨年9月から田村、南相馬、川内、飯舘四市村で森林除染の実証事業を始めた。山林の奥地で数十ヘクタール規模の大規模な除染を行うのは原発事故発生後初めてで、除染の効率性や作業員の被ばく対策、コスト削減などの観点から森林を面的に除染するための具体的な工法を絞り込む。

 手付かずだった森林除染の実証事業開始を評価する声がある一方、林業関係者からは「遅すぎる。環境省と林野庁がどこまで連携できるかも不透明」と縦割り行政の弊害を指摘する声も上がる。国による森林除染が進まないため、県は平成25年度から「ふくしま森林再生事業」として民有林の間伐による線量低減事業を展開している。

 国の推計によると、国直轄で除染が行われる「除染特別地域」の森林面積は約8万ヘクタール、国の財政支援を受けて市町村などが取り組む「汚染状況重点調査地域」(39市町村)を含めると、県全体の森林面積約97万ヘクタールの6割近くに上る。

   ◇    ◇

 県によると、森林の空間放射線量(362地点)の平均値は、23年度は毎時0・91マイクロシーベルトだったが、24年度は0・62マイクロシーベルト、25年度は0・44マイクロシーベルトと徐々に減少した。

 放射性セシウムの自然減衰率とほぼ同様に空間線量も低下している。県は、原発事故から20年後には平均0・18マイクロシーベルトになると予測している。

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