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【3.11から4年】識者の目 福島大行政政策学類教授 今井照さん 自由度高い基金必要

 震災、原発事故から4年が過ぎ、社会基盤や復興拠点の整備が進む一方、今なお12万人近くの県民が避難生活を続ける。原子力災害の対応に不可欠な行政の長期的な視点、復興予算の確保などについて、自治体政策が専門の福島大行政政策学類の今井照教授に聞いた。
 
 -復興の道のりは半ばだ。
 
 「復興は自然災害の地震・津波と、原発事故と分けて考える必要がある。津波災害は防潮堤整備など国、県の取り組みが進んでいる。それは当然、やるべきことだ。しかし、原発事故に伴う避難者の支援が十分かと言えば、必ずしもそうではない」
 
 -具体的には。
 
 「原発事故からの復興に向け、県や各市町村が復興計画(ビジョン)を策定しているが、再生可能エネルギーの拠点整備や古里の土地の利活用などハード面が中心という印象を受ける。現実には12万人近くが今も避難生活を続けている。復興拠点などの施設や社会基盤が整備されたからといって、すぐに住民が帰るわけではない。むしろ重要なのは、避難を続ける住民の心身のケアや現住居への対応だ。特に、仮設住宅やみなし仮設(民間借り上げ住宅)での暮らしをどう支えていくか、そうした視点がもっと必要ではないか」
 
 -県や市町村は災害公営住宅整備を進めている。
 
 「災害公営住宅はもちろん大事だ。しかし、(現時点では)希望者が必ずも多いわけではない。仮設住宅などで4年間にわたって築いたコミュニティーを失いたくないという思いなどが背景にある。思い切って、今の仮設住宅の改修に手を掛けたり、環境改善を考えることも大切だ。そのためには、借り上げ住宅の転居を認めたり、一世帯で複数の空き仮設住宅を使用できるようにするなど、制度面での柔軟な対応が求められる」
 
 -国は「集中復興期間」を延長せず、必要な予算を精査して投じる考えだ。本県は原発事故に見舞われ、他県とは状況が異なる。
 
 「原子力災害は国と東電に責任があり、国が復興予算を担保することが大前提だ。原発事故からの復興は10~30年と長期にわたる。県は、自由度の高い基金としてまとまった財源を確保し、長期的なビジョンで予算を執行していくことが肝心だ。本県は避難区域を抱え、10年後にどんな事業が新たに必要になるかは分からない。現在の各種基金は実質的に使い道が限定されてしまい、国の方針やペースに沿わなければならない形になっている」
 
 -2020年に東京五輪が開催される。本県の復興が風化する懸念はないか。
 
 「本県に競技や合宿が誘致され、活気づくことは喜ばしい。だが、五輪開催は人や資源、カネを東京に集中させる恐れがある。国は被災地の復興や地方創生を掲げる一方で、東京一極集中を加速させようとしているようにも見える。五輪開催で復興が遅れるようでは本末転倒だ。国には避難者の心情に寄り添った対応が求められる」

■経歴
 
 いまい・あきら 神奈川県平塚市出身。東京大文学部社会学専修課程修了。都立学校事務、東京都大田区職員を経て平成11年から福島大行政社会学部(現行政政策学類)教授。専門は自治体政策。61歳。

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