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【3.11から4年】「福島第一原発の今」予断許さぬ廃炉作業

■雨水の港湾外流出や凍土壁の建設に遅れ 汚染水対策
 
 東京電力福島第一原発の廃炉作業は事故発生から4年が経過しようとする今も、汚染水漏れへの対策や溶融燃料の取り出しなどに向けて予断を許さない状況が続く。1~6号機全ての廃炉が決まっている同原発。核燃料の取り出しが完了したのは4号機だけだ。廃炉研究施設としての活用が決まっている5、6号機を除き、1~3号機は溶融した燃料の位置や形状さえもつかめていない。1日当たり約7千人が作業に従事する中、管理が行き届かず重大な労災事故も発生している。
 
 汚染水対策の柱となるのは、原子炉建屋周辺の井戸「サブドレン」からくみ上げた地下水を浄化後に海に放出する計画だ。福島第一原発では、1日300~400トンの地下水が建屋に流入し、汚染水となっている。
 
 原子力規制委員会は1月、サブドレンの計画を認可した。汚染水対策の「主役」として重要性を強調する。東電も、サブドレンの運用で汚染水を半減させる効果が期待できるとしている。
 
 しかし、2月下旬、2号機原子炉建屋の屋上にたまる放射性物質を含む雨水が排水路を通じ、港湾外の海に流出した。さらに、東電は昨年4月以降、降雨のたびに排水路の放射性物質濃度が他の排水路より高くなるのを把握していたが、海への流出防止策を取らず、公表していなかった。
 漁業者に不信感が広がり、「信頼関係が崩れた」との声も上がる。風評被害を懸念する漁業関係者らの理解を得られなければ、サブドレンからの海洋放出は運用できない状況だ。
 
 一方、汚染水対策の切り札とされ、1~4号機の周囲約1・5キロを「氷の壁」で囲む凍土遮水壁の建設計画にも狂いが生じている。当初の予定を変更し、全体の6%に相当する西側の約60メートルのみを今月中に先行して凍結する見通し。
 
 海に近い東側では、高濃度の汚染水がたまる2~4号機の海側トレンチ(電源ケーブルなどが通る地下道)の埋め立て作業が続く。
 
 昨年5月から運用が始まった地下水バイパスは建屋に入り汚染される前の地下水をくみ上げて海に流している。2月25日までに、計8万2千トンを排水した。
 
 2月19日現在、地上タンクに保管されている高濃度汚染水は約22万トンに上る。トリチウム以外の62種類の放射性物質を除去する多核種除去設備(ALPS)による全量浄化について、経済産業省は平成27年度後半になるとの見通しを示している。
 
■取り出し作業課題 実証実験が本格化 溶融燃料
 
 1~3号機に残る溶融燃料の取り出しが高い壁となって立ちはだかる。高い放射線量下にある溶融燃料の位置や形状を確認するための技術開発や実証実験が本格化している。
 
 高エネルギー加速器研究機構(高エネ研)は2月12日、1号機周辺で、宇宙から地球に降り注ぐ宇宙線から生じる「ミュー粒子」を利用して溶融燃料の位置を探る実証実験を始めた。
 
 ミュー粒子はほとんどの物質を透過するが、核燃料に含まれるウランに吸収されるなどする。この性質を使い、建屋を擦り抜けるミュー粒子から燃料の位置や状態を調べる試みだ。
 
 文部科学省は平成26年度から5年間にわたり、廃炉に携わる人材を育成する「廃止措置等基盤研究・人材育成プログラム」を展開する。事業の一環として、福島大、会津大、福島高専が廃炉作業に当たる遠隔操作ロボットの技術開発に向けて、共同研究に取り組む。30~40年かかるとされる廃炉の完了を技術的に支える専門家の育成と研究開発を同時に進める。
 
 東電は1~4号機の廃炉費用を1月末現在、約9760億円と見積もる。ただ、技術開発や追加工事などで新たに発生する費用が想定される。電気料金や税金として国民への負担増が懸念される。
 
■「福島第一原発の今」予断許さぬ廃炉作業 規制委、指針に反映へ 地震・津波対策
 
 福島第一原発は事故発生後、津波による放射性物質の海洋流出を防ぐ十分な対策が取られていないままだ。
 
 東電は砕石を詰めた高さ14メートルの仮設防潮堤を設置。非常用の仮設電源などを高台に移した。東電は安全性を強調するが、専門家からは応急措置にすぎないとの指摘がある。
 
 原子力規制委員会の田中俊一委員長(福島市出身)は昨年8月の定例会合で、「地震や津波への対策は重要。特に放射性物質を敷地外に流出させるリスクを抑えるのが大切」と指摘した。規制委は福島第一原発の災害対策の見直し作業を進めており、今春にも改定する原子力災害対策指針に反映させる。

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