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【連載・動きだした中間貯蔵施設】(上)地権者交渉進まず課題も

仮置き場から一時保管場に搬入されるフレコンバッグに入った除染廃棄物=13日午後3時ごろ、大熊町

 「中間貯蔵施設への廃棄物搬入が順調に進めば、除染が加速し、本県復興を後押しする」。県幹部は期待を寄せる。除染作業を滞らせる大きな要因となっている仮置き場不足が解消されるとみられるためだ。

 県内では662カ所の仮置き場だけでは足りず、学校や住宅の軒先などに置く「現場保管」が増加している。その件数は8万3328カ所(昨年12月末現在)で、前年同期より3万8797カ所も増えた。

 約4万カ所で現場保管が行われている福島市の小林香市長は搬入開始について、「除染の加速が一歩前進」と評価。廃棄物の搬出を待つ仮置き場が約120カ所もある二本松市の新野洋市長は「地域住民の不安解消につながってほしい」と、本格搬入への早期移行を求めた。
 
   ◇  ◇
 
 中間貯蔵施設は東京電力福島第一原発事故で発生した除染廃棄物を、搬入開始から30年以内に県外で最終処分するまでの間、保管する。環境省は、県内43市町村から運び込まれる最大量を2200万立方メートルと見込む。

 大熊、双葉両町の第一原発周辺の約16平方キロの敷地に建設する。貯蔵や減容化のための施設の他、空間放射線量や地下水モニタリング、情報公開、減容化技術の研究・開発の施設も併設する。中間貯蔵の役目を終えた国所有の土地は、地元の意向を踏まえ、有効活用する方針だ。

 ただ、地権者との用地交渉が進まず、施設本体の建設に見通しが立たないなど課題も多い。
 
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 環境省によると、建設予定地の地権者は約2300人に上るが、用地の売買契約がまとまったのは、ごく一部にすぎない。貯蔵に必要な用地を十分に確保できなければ、廃棄物の受け入れが滞ってしまう。
 
 用地交渉が難航する背景には、先祖伝来の土地を手放すことに対する、地権者の複雑な思いがある。

 大熊町から会津若松市に避難している長原仮設住宅自治会長の斎藤重征さん(70)は「ついに始まったという感じ」とつらそうに話す。政府は古里に戻れない地権者の苦痛を察しているのか、疑問に感じるという。「交渉の行方は相手の誠意に懸かっている」と売買の判断を保留している。

 県は、廃棄物搬入を容認した際、政府に「地権者に対して分かりやすく丁寧で寄り添った対応」を要請した。地権者の理解をいかに得るかが、中間貯蔵施設への本格搬入を遅延なく実現するための鍵となりそうだ。
 
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 13日、中間貯蔵施設に最初の除染廃棄物が運び込まれた。今後、施設建設と試験輸送が並行して進む。本格輸送や県外最終処分に向けた課題を探る。

カテゴリー:福島第一原発事故

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