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【国際研究産業都市】再生エネで独自構想 県と市町村 10項目、国の対応注視

 浜通りの復興に向けて新産業創出などを目指す福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想で、県と関係市町村は20日、風力発電拠点形成などエネルギー関連産業に関する10項目のプロジェクト案を自主的に固めた。正式決定後、国に要望する。固定価格買い取り制度の見直しなど国の制度設計が変化する中、再生可能エネルギー分野は明確な構想が示されていない。被災市町村のまちづくりと一体となった産業の創出、普及・拡大策が十分反映されるか国の対応が注視される。

■具体案
 県と津波・原子力災害の被災15市町村がまとめたプロジェクト案は【表】の通り。20日に福島市で開かれたエネルギー関連産業検討分科会で了承した。25日に県・市町村検討会議で正式に決めた上で、国の構想推進会議に提案する。
 産業創出に向け風力発電の拠点形成を掲げた。阿武隈山系や沿岸部に複数の適地を選定し、事業者を公募する。環境アセスメント手続きの簡素化や農地法の要件緩和、風車搬入路の整備に関する財政支援を国に求める。
 復興のまちづくりと一体的に整備するスマートコミュニティー形成にも力を入れる。現段階の想定では、太陽光や風力などの発電設備と公共施設、住宅、交通網などを結び、効率的なエネルギー活用を目指す。楢葉町など9市町村が導入を計画しており、県はこれらの市町村からモデル地域を選定し平成27年度から実証を始める。関連費用を国に要望する。
 工業団地整備促進のため、新たな企業立地補助金制度の創設も国に働き掛ける。

■遅れ
 プロジェクト案を作った背景には固定価格買い取り制度、系統接続問題などで国の方針決定が遅れた影響もある。国はイノベーション・コースト構想で既に「ロボット研究・実証拠点整備」「国際産学連携」などの検討会を設置したが再生可能エネルギー分野は明確な構想が示されていない。
 政府原子力災害現地対策本部の担当者は「再生可能エネルギーは地域に根差す取り組みが大事。国が単に拠点をつくれば導入が進むというものではない。まずは県と市町村で方向性を見いだしてほしい」とする。今後はプロジェクト案を「たたき台」とし、議論を進める方針だ。

■待ったなし
 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の見直しでは、電力会社が新規事業者に太陽光や風力の発電量抑制を求めやすくしたり、太陽光の買い取り価格を下げたりする方針が示されている。
 今後は電力自由化も控えている。県は「電気を効率的に使う仕組みづくりが今後、不可欠になる。構想の実現は待ったなしだ」と案づくりを急いだ理由を説明する。
 県と市町村は国への予算要望を行いながら、平成28年度までに各プロジェクトを発足させ、29年度に着手する方針。東京五輪が開かれる32年度をめどに一定程度を実現させたい考えを示す。

【背景】
 イノベーション・コースト構想は、国が東京電力福島第一原発事故で被災した双葉郡など浜通り地方の復興のため、ロボット技術、廃炉技術などの開発拠点整備、再生可能エネルギーの産業創出などを想定する。ロボット研究については福島復興再生特措法改正案に明記された。国が今国会での成立を目指している。
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■イノベーション・コースト構想のエネルギー関連産業プロジェクト案
(1)避難地域の再生可能エネルギーによる復興支援
(2)風力発電の拠点形成(陸上・洋上)
(3)小水力発電導入の拡大
(4)高効率石炭火力発電(IGCC)
(5)天然ガス(LNG)による火力発電
(6)LNGの地域利用促進
(7)復興まちづくりのためのスマートコミュニティー形成
(8)水素によるエネルギー貯蔵・効率的利用
(9)バイオマス(メタン発酵・藻類)
(10)浜通りのポテンシャルを生かした産業集積

カテゴリー:3.11大震災・断面

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