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【県グループ補助金 交付企業】2割580社 事業再開遅れ 資材高や作業員不足要因

 東日本大震災、東京電力福島第一原発事故で被災した中小企業や商店の施設復旧などを支援する県のグループ補助金制度で、交付決定を受けた後、1~3年が過ぎても再開できずにいる事業者が2月末現在、全体の約2割に相当する約580社に上る見通しとなっている。資材高騰や作業員不足、除染の遅れなどが要因とみられる。事業再開の遅れは復興の停滞につながりかねず、県は追加費用を上乗せする支援策の活用などを促す。

■異例の措置
 グループ補助金は、交付が決定した年度に事業を完了するのが原則だが、交付決定時期や自然災害による影響などを考慮し、地方自治法は最大で二度の繰り越しを認めている。さらに、震災と原発事故からの復興という特殊事情を踏まえ、一度目の「明許繰り越し」、二度目の「事故繰り越し」でも事業完了しない場合には「再交付」が認められている。
 県のまとめでは、制度開始の平成23年度から、事故繰り越しが発生する可能性がある25年度までに交付決定を受けた事業者は延べ3131社。このうち、23年度から繰り越しを続け26年度に再交付となったのは46社、27年度に再交付となる見込みの事業者は130社ある。
 一方、27年度に事故繰り越しとなる可能性が高い事業者は400社程度あるとみられる。全て合わせると約580社となり、全体の2割近くが交付決定から1年、最長で3年が経過しても事業が完了していないことになる。事業の一部着手か未着手の状態となっている。

■異なる事情
 県などによると、繰り越しが続く主な要因には、復興需要の高まりを背景とする資材や人件費の高騰、作業員不足などがある。県の聞き取りでは「建設業者が利益率の高い別の復興事業に集中し、工事をしてほしくても難しい」と嘆く事業者は少なくない。
 商店などを再開する予定の土地が、市町村の都市計画の用途変更などの影響を受け、1年以上も調整が続くケースもあるという。
 経済産業省中小企業庁は「通常は補助金の繰り越し自体があり得ず、事故繰り越しや再交付は震災に伴う異例の対応。地域によって事情は違うが、福島は原発事故に伴う除染の遅れなど複合的な要因が影響しているのではないか」とみている。

■追加支援
 グループ補助金は制度発足以来、事業者に好評だ。交付決定は26年度末までで約3500社(見込みを含む)に上る見通しだ。既に2908社が事業を完了している。
 補助金の繰り越しを余儀なくされているのは、復興事業が集中する浜通りや、避難先で再開を目指す事業者が多いとみられる。県の担当者は「事業が遅れれば、再起の意欲が低下したり、地域の復興の停滞につながりかねない」と懸念する。
 経産省は昨年7月、こうした状況を受けて追加支援策をまとめた。資材価格や人件費の上昇で工事契約をできないでいる事業者などを対象に、再建費用が当初の予定より6割増えたケースを上限に国費と県費で補助金を上乗せする仕組みだ。
 ただ、追加支援を受けた事業者は2月末現在、県内で9社しかない。県は制度の周知が不十分とみて、各種補助金関連の説明会などで活用を促す考えだ。

【背景】
 グループ補助金は震災と原発事故で被災した中小企業や商店が施設・設備の復旧・整備を進めるため、県が平成23年度、国費と県費を元に創設した。補助率は中小企業で4分の3以内、中小企業以外で2分の1以内。県は26年度から補助金の運用を拡大し、避難区域などの帰還事業所に限り2回目の利用を認めることにした。避難先で1度利用しても、古里に戻って再開する場合に再度、補助金を受けられる。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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