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福島をつくる(33) 第3部 DCで魅力発信 風呂山公園の山ツツジ(塙)

山ツツジの植樹作業に汗を流すボランティア=1日

〈古里の希望 咲かせる〉

 塙町は風呂山公園の山ツツジを守り続けるため、平成18年に1口100円の「つつじ募金」を創設した。募金の第1号は協業組合福島県南環境衛生センター理事長の本多昌雄(75)だった。
 本多にとって風呂山公園は子どものころから身近な存在だった。春の遠足では決まって山ツツジを見に行き、真っ赤に染まる山肌に心を奪われた。日露戦争後の荒廃期からの復興を期待し、大正時代の先人が3333本を植えたと伝わっている。「町の誇りだ」。親から聞かされるたび、子どもながら自慢に思った。平成になって花が咲かなくなり、先人の願いや自分の思い出が消えてしまう気がしていた。
 平成16年ごろから、「つつじが岡公園」のある群馬県館林市に何度も出向き、専門家の意見を聞いた。公園は歴史と規模から「世界一」と称されていた。土壌改良、適切な剪定(せんてい)などの必要性を学んだ。そして世界に誇る館林市のツツジを育てたのは、住民の長年の努力だと知る。

 「町を挙げて守ろう」。18年、本多は永続的な維持・管理の必要性を感じていた、当時、町企画振興課政策推進室長だった天沼恵子(56)=まち振興課長=らと意気投合する。募金で若木の購入や施肥、消毒にかかる費用などを長く確保する-。天沼は言った。「町民の皆さんも、気持ちは同じはず。必ず成功する」
 募金箱は現在、町内の観光施設やJR磐城塙駅、道の駅など10カ所に設けている。25年度までの累計で約590万円が寄せられた。浄財を元に土壌改良や植樹が進んだ。ボランティアの輪が広がった。町観光協会を中心に、塙町さつき愛好会などが剪定や消毒などに汗を流した。今では約4000本が咲き誇るまでになった。

 山ツツジを見に訪れる観光客は例年、5000~6000人ほどいる。4月1日から6月末の大型観光企画「ふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)」で天沼は「1万人以上を目指す」と10年がかりで進めてきた活動に自信をのぞかせる。
 県と共同で、風呂山公園の山ツツジを全面に出したチラシを作った。町内外で配り、PRに力を入れる。町観光協会は斜面の景観をさらに良くするため、今月1日にボランティアと新たに約150本を植えた。
 本多は日露戦争後、先人が山ツツジに希望を託した当時と、今の福島を重ねる。「DCを契機に訪れる全国の人に福島の希望を見せたい。それが先人の魂を受け継ぐことになる」(文中敬称略)

カテゴリー:福島をつくる-未来への挑戦

問い合わせ=塙町観光協会 電話0247(43)3400

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