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福島をつくる(34) 第3部 DCで魅力発信 飯坂温泉花ももの里(福島)

山桃の花の状態を確かめる畠。4月になれば多種多様な花モモが咲き乱れる

<住民手入れ 40種公開>
 福島市飯坂町の温泉街を望む山の中腹に、山桃(ノモモ)の白い花が咲き始めた。舘ノ山地区にある「飯坂温泉花ももの里」。住民手作りの公園内で山桃は真っ先に春の訪れを告げる。かわいらしい花びらが風に揺れる。
 国内外の40品種、約300本の花モモが80アールの敷地に並ぶ。赤、ピンク、白...。一般的な一重咲きだけでなく、八重咲きもあれば、キクのように細い花弁がたくさん開く「菊咲き」もある。整備と管理に携わる農業畠直七(67)は「これだけ豊富な種類がそろう場所は他にない」と胸を張る。

 園内はかつて個人のリンゴ畑だった。見晴らしが良く、温泉街や福島市街地、霊山まで見渡せるが、長い間耕作されず、荒れ地のようになっていた。平成14年ごろ、宇都宮大農学部の元教授が研究資料として集めた各種の花モモを育てる計画が持ち上がる。畠が元教授の教え子だった。「果物の里のシンボルにしよう」。飯坂温泉観光協会や地元の果樹農家が中心となり受け入れた。
 土地は山の斜面にあり、土壌は水分を多く含んでいた。花モモは水はけの良い土地を好む。農家らは重機で土を掘り返し、石を敷き、パイプを埋めた。同時に宇都宮大から分けてもらった枝を接ぎ木して増やす。15年に苗木を植え、4年後に無料の一般公開を始めた。
 病気を防ぐための定期的な消毒が欠かせない。元観光協会長で果樹農家の安斎忠作(66)は「管理には手が掛かる」と明かす。花ももの里から病気を出し、近隣の果樹園に伝染するのを心配する。今では地域ぐるみの保全活動になり、若手の農業後継者が消毒や枝切りに取り組む。
 安斎は「花ももの里を観光と農業の振興につなげたい」と期待を寄せる。

 公開して8年がたつ。見る期間の短い桜の名所と異なり、3月下旬から5月初めの約1カ月半、多種多様な花モモを楽しめる場として知られるようになった。昨年は約3万人の観光客が足を運んだ。
 観光協会は「ふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)」に合わせ、4月17日から5月6日まで園内に茶屋を設け来場者をもてなす。観光協会主任の畑中靖(43)は「地元の皆さんが自ら手入れしているのが最大の魅力。心を込めて来訪者を迎え、また福島に来たいと思ってもらえれば」と心待ちにしている。(文中敬称略)

カテゴリー:福島をつくる-未来への挑戦

問い合わせ=飯坂温泉観光協会 電話024(542)4241

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