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【再除染】基準なく住民困惑 楢葉 判断に時間 完了遅れ

 東京電力福島第一原発事故に伴い、1回の除染で放射線量が十分に低減しない箇所などで実施する再除染について、環境省が実施の有無を判断する基準を設けておらず、帰町に向けた取り組みが続く楢葉町の住民らに困惑が広がっている。同町では、6日に準備宿泊が始まる予定で、当初は、環境省が3月までに再除染を終えるはずだった。しかし、基準を定めていないことから判断に時間を要し、4月末にずれ込む見通しとなった。同町の例は今後の再除染の在り方に影響を及ぼしかねず、県などは基準の明確化を強く求めている。

■通知
 楢葉町からいわき市に避難している主婦金井直子さん(49)の元に2月中旬、同省福島環境再生事務所浜通り南支所から初回の除染後に実施した現地調査の結果通知が届いた。「今年度のフォローアップ除染(再除染)の対象にならないと判断された」とあった。
 金井さんによると、自宅敷地内の空間放射線量は最も高い所で毎時0.8マイクロシーベルトある。「帰還を目指す町民にとって線量の低減は不可欠なのだが...」と疑問を呈する。
 納得のいかない町民は少なくない。町には「なぜ再除染してくれないのか」との問い合わせの電話が毎日かかってくるという。町は早ければ今春以降の帰町を目指しており、準備宿泊は帰町への第一段階となる。再除染に対する町民の理解が得られなければ、町による帰町時期の判断がずれ込む可能性もある。町の担当者は「国は早く基準を明確に示してほしい」と訴える。
 県も昨年3月、再除染の基準を早急に示すよう同省に要望した。県の担当者は「避難区域を含め他の市町村でも除染が一巡すれば、同じように再除染を求める声が出てくる」と懸念する。

■一律は困難
 同省は福島民報社の取材に「再除染の基準は環境省の内部でも設定していない」と説明する。「汚染状況は地形など個々の状態で違う。一律の基準を設けるのは難しい」とし、同じ放射線量の数値でも再除染をする箇所としない箇所に分かれる可能性も示す。住民の不安解消に向けて、相談窓口で応じるほか、継続して事後モニタリングを実施するという。
 国直轄の除染特別地域である楢葉町で同省が昨秋から実施した再除染の進捗(しんちょく)状況は【表】の通り。3月完了の予定だったが、現地調査を実施した1189戸のうち、3月27日現在で再除染を終えたのは1割超の166戸にとどまる。
 既に避難指示が解除された川内村の除染特別地域では94戸で現地調査を実施し、24戸で再除染をした。田村市都路町は24戸中、19戸で再除染を終えた。

【背景】
 環境省は平成25年8月、井上信治副大臣(当時)が除染後の放射線量が除染前より高くなったり、放射性物質を十分に除去できなかったりした地点を対象に再除染をする方針を示した。地元から政府が除染の長期目標に掲げている「年間追加被ばく線量1ミリシーベルト以下」から算出した推計値の「毎時0.23マイクロシーベルト以下」まで再除染の実施を求める声もあるが、同省は「0.23はあくまで推計値で基準ではない」とし、再除染の必要性は事後モニタリングや現地調査の結果から個別に判断するとしている。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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