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【中間貯蔵施設へ試験輸送1カ月】搬入開始3市町のみ ルート選定など調整難航

 東京電力福島第一原発事故に伴う除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設(大熊・双葉町)へのパイロット(試験)輸送が始まり、13日で1カ月となる。6月末までに試験輸送を終える計画の双葉郡と田村市の9市町村のうち、搬入が始まったのは大熊、双葉、田村の3市町にとどまる。輸送路の選定などで国と地元の調整が難航するケースがあるためだ。一方、試験輸送で廃棄物を運び込む一時保管場は3000立方メートル分を確保できていない。

■国との溝

 環境省は除染廃棄物を中間貯蔵施設に運ぶルートについて、(1)交通事故や渋滞を誘発しないか(2)通学路になっていないか-など住民生活への影響に配慮して地元の自治体に提案していると説明する。
 しかし、先行実施する9市町村の中には調整に時間を要しているケースもある。浪江町議会は、同省が示した114号国道を通るルート案に反発した。町役場や商店などが並ぶ中心市街地を通過するためで、町西部の山間部を通る県道いわき浪江線に変更するよう求めた。しかし、環境省は県道の復旧が進んでいないことを理由に受け入れていない。
 同省は今月下旬にも、町内の津島中仮置き場から試験輸送を始めたい考えで、町議会は近く、再協議の場を設ける予定だ。ただ、小黒敬三議長は「1日も早く輸送を開始してほしい気持ちはわれわれも同じだが、不安は拭えない。環境省は住民感情を理解しようという努力が足りない」と指摘しており、協議の先行きは不透明だ。
 富岡町は試験輸送のルートについて環境省と協議を進めており、来週中にも町議会に説明する。広野町は一般道での事故防止のため、なるべく常磐自動車道を使う方向で調整している。

■県全体の4%

 環境省は平成28年3月末ごろまでに、除染計画を策定した県内43市町村から約1000立方メートルずつ計4万3000立方メートルの試験輸送を終える計画だ。しかし、中間貯蔵施設への搬入量は10日現在、大熊、双葉、田村3市町からの合わせて約1700立方メートルで、全体のわずか約4%にすぎない。
 同省の担当者は、作業工程に大幅な遅れはないとした上で、「輸送中に交通事故などを起こせば住民に不安を与える。丁寧に慎重に進めたい」と強調。来年3月末までの完了に、こだわらない考えを示している。
 県幹部は「復興を急ぐため、計画に遅れが出ないよう迅速かつ安全に対応してほしい」と注文を付けている。

■用地交渉進まず

 中間貯蔵施設内に設ける一時保管場の整備予定の全容は【図】の通り。
 環境省は現在、大熊、双葉、田村3市町からの搬入を受け入れている場所を含め、今月末までに2万立方メートル分を整備する。さらに、2万立方メートル分の整備工事を5月にも追加発注する予定だが、それ以降の計画は現時点で白紙という。地権者交渉が進んでいないためだ。試験輸送分で搬入を予定している4万3000立方メートルのうち、3000立方メートル分の確保が課題となっている。

【背景】
 安全対策などの課題を検証する中間貯蔵施設へのパイロット(試験)輸送は3月13日に大熊町から始まった。環境省は1月中の搬入開始を目指してきたが、県、大熊、双葉両町、建設予定地の地権者との交渉が難航し、開始時期が3月にずれ込んだ。試験輸送と同時並行で進む施設建設は、用地交渉が難航している。国によると、登記簿上の地権者約2400人のうち、半数の約1200人分の土地が実際は「所有者不明」となっている。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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