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今を生きる 浪江復興集配で貢献 「ありがとう」の言葉背に

復旧作業が進む浪江町で荷物を運ぶ石田さん

■ヤマト運輸勤務 石田卓也さん(50)

 なじみ深い「クロネコ」が浪江町を走る。昨年11月から町内での集配を再開したヤマト運輸に勤務する石田卓也さん(50)は同町の出身だ。「古里の復興のために」と荷物を運ぶ。
 東日本大震災当時、町内の営業所に勤務していた。会社関係のほか、梨、コメ、サケ、野菜など季節の産品がたくさん集まる活気ある営業所だった。大好きだった職場は、震災と東京電力福島第一原発事故で閉鎖に追い込まれた。
 郡山市に避難を強いられ、郡山勤務となった。地域の復興に貢献するため町内での集配再開が決まった時、「自分が行きます」と真っ先に手を挙げた。
 再開初日に目にしたのは、変わり果てた古里の姿だった。以前は通行できた道がバリケードでふさがれていた。かつて集配していた荷主の家は、ほとんどが津波でなくなっていた。あらためて震災の被害に心が痛んだ。
 そんな中、集配が再び始まったことを喜んでくれる人たちの存在が何よりの支えになった。「便利になった」「ありがとう」。一つ一つの言葉を聞くたびに「集配を再開して良かった」と思えた。
 現在は郡山市から1カ月に7日間前後、応援に駆け付ける。「宅急便という商品で復興に貢献できることを誇りに思う。一社員として、一町民として、これからも頑張りたい」。物静かな口調が力強く響いた。

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