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【震災から4年1カ月】つまずく汚染水処理

4号機建屋の南側に設置された凍土遮水壁の配管=東京電力福島第一原発

 東京電力福島第一原発の汚染水処理がはかどっていない。地上タンクに保管している高濃度汚染水の浄化完了は5月末の目標に間に合わず、さらに数カ月かかる見通しだ。汚染水発生を防ぐ凍土遮水壁は、当初予定していた3月の運用開始を断念した。作業の遅れが続けば、避難者の「古里に戻りたい」という気持ちがなえてしまうとの指摘もあり、東電の対応が注目される。

■【ALPS】稼働率上がらず 海水影響 フィルター目詰まり

 福島第一原発構内の地上タンクにある高濃度汚染水は約60万トン。東電は当初、浄化完了の時期を今年3月末としていたが、多核種除去設備(ALPS)の稼働率が上がらず目標を5月末に延期した。さらに、3月に入って「5月末から数カ月遅れる見通しとなった」と発表した。完了時期は明確に示せないという。
 保管されている高濃度汚染水のうち約2万トンは、東日本大震災の津波が建屋に流入した影響で、カルシウムやマグネシウムを多く含んでいる。こうした成分でALPSのフィルターが目詰まりを起こしてしまい、処理に時間を要している。
 さらに、東電は地上タンクの底にたまった約2万トンを、ポンプでくみ上げ切れないとみている。作業員の被ばく対策を講じた上で、タンクの解体時に順次処理する方針だ。
 県は汚染水処理の遅れが住民の帰還意欲を奪いかねないと懸念している。長谷川哲也県生活環境部長は「(汚染水処理の)遅れが復興に影響する」と批判した上で、完了時期を早期に示すよう求めている。
 浪江町から福島市に避難している脇坂美也子さん(53)は「原発の汚染水問題やトラブルの報道に接するたび、もう古里に戻れないのではないかと思ってしまう」と明かす。

■【凍土壁】運用開始先延ばし 作業員の事故受け

 建屋への地下水流入を抑え汚染水発生を防ぐ「凍土遮水壁」の運用開始が遅れているのは、1月に起きた作業員の死亡事故を受け、現場の安全確認で工事を約2週間、中断したのが要因。東電は先行して今月中に、凍りにくいとみられている箇所から凍結を始める考えだ。5月から山側全体を凍らせる方針で、その後は海側の凍結を開始するとしている。
 原子力規制委員会の許可を受けて作業に入るが、同委員会の田中俊一委員長(福島市出身)は凍土遮水壁の効果に疑問を投げ掛けている。
 3月上旬の記者会見で、「凍土遮水壁ができれば汚染水問題がなくなるという錯覚をまき散らしているところに過ちがある」として、凍土遮水壁だけで汚染水発生を完全にブロックするのは難しいと強調。「率直に県民や漁業者に説明しなければいけないのに(政府や東電は)避けている」と指摘した。

■【サブドレン計画】汚染雨水、排水路から海へ流出 漁業者不信感高まる

 原子炉建屋周辺にある井戸「サブドレン」からくみ上げた水を浄化した後、海に放出する計画は、漁業者の理解が依然として得られず、実施の見通しは立っていない。
 2号機建屋屋上にたまった高濃度の放射性物質を含む汚染雨水が、排水路を通じて港湾外の海に流出していたことが2月に明らかになった。東電は、問題発覚前の昨年4月以降、降雨のたびに排水路の放射性物質濃度が他の排水路より高くなることを把握していたにもかかわらず、流出防止策を施さず、事態を公表していなかった。
 これが、漁業者の東電に対する不信感を高める結果となった。県漁連の野崎哲会長は、計画を進めるためには「東電と漁業者の信頼回復、修復が大切」との考えを示している。

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