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小高に集いの灯を 来春、古里で飲食店再開 帰還の"先陣"に 避難解除に向け親子で準備

改修をほぼ終えた店内で再開に向けた意欲を語る島尾さん

■島尾清助さん(68)
 東京電力福島第一原発事故で避難区域になっている南相馬市小高区の飲食店「魚料理 島魚(しまうお)」が、市が来年4月を目標にしている避難指示解除と同時に再開する。小高商工会によると、原発事故後、同区の飲食店が再開を決めたのは初めて。店主の島尾清助さん(68)は「みんなが小高に帰ってこようという呼び水になれば」と話す。

 島尾さんは南相馬市鹿島区の仮設住宅から毎日のように店舗に通い、再開に向けた準備を進めている。東日本大震災で傷んだ外壁、玄関などの修復がほぼ終わった。
 小上がりだった場所を椅子席にするなどお年寄りらに配慮した作りに変えた。震災前の趣を残しながら清潔感のある店に仕上がりつつある。原発事故前は地元産の旬の魚介類を使った料理を提供していた。再開後も可能な限り、試験操業で取れた地元の魚を使うつもりだ。
 震災直後から小高に戻ることを決めていた。「60年以上育ってきた土地。ここ以外で店をやろうという気持ちは全くなかった」と言い切る。再開に向けて、後継者の長男高広さん(39)と話し合った。どれだけの住民が帰還するのかも分からない。「小高で採算が取れるのか」「原町で開いたほうがいいんじゃないか」-。清助さんの気持ちは揺るがなかった。古里を思う父親の熱意に、高広さんが答えを出した。「いいよ」。親として最高にうれしい言葉だった。
 営業時間は震災前と同じ午後6時からを予定している。気の合う仲間が集い、新鮮な魚をつまみながら酒を酌み交わす。そんな日常を提供することが古里の復興につながると信じている。「震災前の風景をもう一度、この街で味わいたいんだ」

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