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今を生きる 希望のバラに復興託す 古里小高で栽培再開

バラの生育状況を見守る佐々木さん=南相馬市小高区

■大森プランツ社長 佐々木清志郎さん(59)

 花や花苗の生産・販売などを手掛ける大森プランツ社長の佐々木清志郎さん(59)=南相馬市小高区出身=は、東京電力福島第一原発事故で全域が避難区域となっている同区でバラの栽培を再開した。「少しでも早くみんなが戻ってこられるよう、事業を通じて役に立ちたい」。古里がバラの一大産地になる姿を思い描いている。
 約20年前、コメ農家から園芸農家に転身した。経営は順調だった。しかし、平成23年3月の東日本大震災と原発事故が全てを狂わせた。原発事故直後は飯舘村に避難した。出荷待ちの花々が気掛かりだった。毎日のように小高に戻り、水やりを続けた。物流が元通りにならず、結局出荷できなかった。丹精込めて咲かせた花は廃棄処分となった。悔しかった。
 「廃業」という言葉が頭をよぎった。花を出荷してくれていた農家から会社の存続を心配する電話が鳴った。生産者の中には大森プランツとの取引だけで生計を立てている農家もいた。多くの責任が肩にのしかかっているのを感じた。震災が発生して間もない3月下旬、新地町に新たな事務所を設け、事業を再開した。
 南相馬市鹿島区、栃木県那須町にも事業所を開いたが、バラの栽培には小高区の気候が適していることが分かり、昨年秋に生産拠点を移すことを決めた。「やっぱり小高は空が高いなあ」。古里の空気は温かく自分を迎え入れてくれた。今年の夏からは、会社をスタートさせた地である同区川房でも生産を始める予定だ。
 小高での生産を再開し、地元の利点をあらためて実感した。「雪も降らないし、日照時間も多い」。バラの咲き乱れる小高区を目指し、生産農家を募る取り組みも始めた。「小高が大きな産地になる可能性は十分にある」と夢を膨らませる。

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