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災害公営住宅、2割が辞退 県、要望把握できず

 東京電力福島第一原発事故による長期避難者向けの災害公営住宅をめぐり、抽選で入居が決定した後に辞退する事例が相次いでいる。県はこれまで752戸分の入居者を募集したが、今年3月上旬までに約2割に当たる150戸の当選者が入居を取り消した。再募集したが、30日時点で11戸の入居が決まっていない。高齢者向けが少ないことなどが要因とみられ、実態に即した整備手法の検証が求められている。
 辞退した150戸のうち「高齢や要介護などの健康状態」が29件で最も多かった。「高齢や要介護などの健康状態」と回答したケースは、高齢者や要介護者向けの「優先住宅」に入居できなかったことが主な理由とみられる。優先住宅は集合型の災害公営住宅一階に整備され、玄関に段差がなく、非常用のボタンなど高齢者が暮らしやすいように配慮した構造になっている。
 優先住宅の数は162戸で全体の2割程度だ。抽選倍率も平均2・7倍で一般住宅の2・1倍を上回る。富岡町の住民支援担当者は「入居を希望する高齢者のほとんどは安全・安心のため優先住宅を希望する」という。実際には、一刻も早く住まいを確保したいとの思いで一般住宅も併せて申し込む人が多い。そのため一般住宅に当選しても日常生活に不安を感じて、辞退する動きにつながっているとみている。
 特に応募倍率が高い傾向のいわき市では、住宅建設の需要急増で市街地の用地確保が難しく、最寄り駅までバスでの移動が必要な場合がほとんど。県は「避難の長期化で既に住宅を新たに住宅を建てる人もおり、入居を取りやめる人が多いのではないか」と分析した。
 県は平成25年度に実施した双葉郡の住民意向調査を29年度末までに南相馬、川俣、富岡、川内、大熊、双葉、浪江、葛尾、飯舘の9市町村に計4890戸の災害公営住宅を建てることを決めた。しかし、調査の回答率は半数程度にとどまり、被災者のニーズを正確に把握するのは難しいのが実情だ。大熊町の担当者は「町民は戸建てでの生活に慣れており、仮設住宅から集合住宅に移るのに抵抗を感じる人が多い。現状の計画が住民の希望に合っているのか」と疑問を呈する。
 県は現段階で計画の大幅な見直しは考えていないという。しかし、「要望との不一致が今後さらに大きくなれば、整備計画そのものを再検討する必要も出てくる」との考えを示した。

カテゴリー:福島第一原発事故

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