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【原発事故の自治体賠償】東電支払いまだ1割 税減収分 算定基準固まらず

 東京電力福島第一原発事故に伴う自治体への賠償で、今年1月末までに県内56市町村が計539億6000万円を請求したのに対し、東電が支払ったのは1割の59億2000万円にとどまる。県がまとめた。請求額の多くを占める税の減収分をめぐっては迅速に処理するための算定基準が固まらず、支払いを始められない。市町村は賠償の未払い分を自主財源などで賄っており、今後の財政運営への影響が懸念される。

■一般会計分2・7%
 県は、各市町村が東電に請求した一般会計分と企業会計分、両会計を合わせた合計についてまとめた。1月末現在の請求額と支払い状況は【グラフ】の通り。
 一般会計分は51市町村が計438億3000万円を請求したが、支払いはわずか11億7000万円(2・7%)にとどまる。請求額の大半を人口減に伴う住民税や固定資産税などの税の減収分、原発事故対応の職員増に伴う人件費などが占めるが、支払いは実現していない。東電は学校給食などの放射性物質検査費、避難区域からの移転費など一部には応じている。
 企業会計分は、上下水道や病院事業の逸失利益分、汚泥対策費などが対象で、48市町村が101億3000万円を求めたのに対し、47億5000万円(46・9%)が支払われた。
 平成26年4月末現在の一般会計分と企業会計分の合計の請求額は475億円で、支払額は45億5000万円(9・6%)。支払額は横ばいの状態が続く。

■定まらない方針
 自治体賠償が進まない理由について東電の担当者は「請求額が膨大で、精査に時間がかかる」と説明する。特に税の減収分をめぐっては「賠償迅速化のため各市町村一律の算定基準を検討している」と強調する。
 東電は県と協議しながら、原発事故由来とみられる住民税の減収分の算定基準作りを急いでいる。ただ、既に震災前より減った税収額を全額請求した市町村も多い。「算定基準を導入すると支払額が少なくなる可能性がある」との指摘もあり、反発も予想される。算定基準が早急に確立できるかどうかは不透明だ。
 東電は市町村からの要望が強い固定資産税については対象外とする姿勢を崩しておらず、隔たりは大きい。

■負担増
 「(賠償未払い分は)一般財源を切り詰めて対応している。賠償の支払いがなければ、将来的に財政を圧迫しかねない」。郡山市の担当者は不安を募らせる。
 同市は1月末現在で一般会計分として64億円を請求しているが、東電が支払ったのは113万円のみ。担当者は「県と連携して東電と協議を進めるが、納得できない部分があれば裁判外紛争解決手続き(ADR)による原子力損害賠償紛争解決センターへの申し立てを検討する」と話す。
 一般会計分の請求額が23億円に上る南相馬市も「復興事業に対する国の財政支援がいつまで続くか分からない上、一部は地方負担という話まである。東電が支払うべき分は、しっかりと対応してほしい」と訴える。
 原発事故に伴う避難者の生活支援のために税金を減免した分については国による交付税措置が取られている。

【背景】
 市町村は平成23年度以降の一般会計分、企業会計分について東電に賠償請求している。賠償が思うように進まない中、県のまとめでは、福島市と桑折町が企業会計分の一部について裁判外紛争解決手続き(ADR)による原子力損害賠償紛争解決センターへの申し立てを行い、東電と和解合意した。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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