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【震災から4年2カ月】「中間貯蔵施設の整備」用地交渉依然進まず

 東京電力福島第一原発事故で発生した除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設の整備をめぐり、環境省と地権者の用地交渉は依然、停滞している。登記簿上の地権者約2400人のうち半数に当たる約1200人と連絡が取れていない。残る約1200人のうち売買契約に至ったのは数件にとどまる。中間貯蔵施設は本県復興に欠かせない役割を担うだけに、環境省がどう現状を打開するのか注目が集まる。

■地権者1200人の連絡先不明 契約わずか数件

 中間貯蔵施設の建設予定地は福島第一原発のある大熊、双葉両町にまたがる約16平方キロ。環境省は両町の協力を得て、戸籍などを基に連絡先が分からない約1200人の親族らを追っている。明治時代から登記が更新されていないケースも含まれており、実際の地権者数は数十倍に増える可能性もあるという。

 一方、連絡先のつかめた約1200人については用地交渉が順調に進んでいるとは言い難いのが現状だ。個別に協議を続けているが現在までに、土地の売買契約を結んだのはわずか数件。建設予定地は原発事故の帰還困難区域に指定され、住民が全国各地に避難していることも交渉がはかどらない要因となっている。

 先祖代々受け継いできた土地を手放すことに抵抗感を抱く地権者も多い。「30年以内に県外で最終処分するという約束は信用できない」とする声も上がっているという。

 県は、中間貯蔵施設への廃棄物搬入を容認した際、政府に対して施設概要などを地権者に分かりやすく示すよう要請した。環境省の担当者は「地権者の思いを十分にくみ取り、丁寧に説明していく」としているが、交渉が前進する見通しは立っていない。
 
■ルート選定難航 搬入開始3市町のみ 試験輸送
 
 6月末までに中間貯蔵施設へのパイロット(試験)輸送を終える計画となっている九市町村(双葉郡八町村と田村市)のうち、搬入が始まったのは大熊、双葉、田村の三市町にとどまっている。輸送路の選定などで、国と地元の調整が難航するケースが相次いでいるためだ。

 環境省は除染廃棄物を中間貯蔵施設に運ぶルートについて、「住民生活への影響に配慮し、地元自治体に提案している」と説明している。浪江町については、町中心部を迂回(うかい)する県道の復旧が進んでいないため町役場や商店などが並ぶ114号国道を通るルート案を示した。しかし、町議会が「大型車両がまちなかを通れば、復興の妨げになる」と反発。同省は代替案を提示できず、当初予定していた4月中の輸送開始を断念した。

 富岡町については、町内二カ所の仮置き場からの輸送ルート案と、同町を通過する川内、広野、楢葉の三町村のルート案を提示した。しかし、町議会から「(輸送時の放射線などに関する)安全対策の説明が不十分」との声が上がっている。

 同省の担当者は、試験輸送が始まったのが三市町にとどまっている現状について「作業工程に大幅な遅れはない」との認識を示した上で、「関係自治体には今後も丁寧に説明をしていく」としている。

※中間貯蔵施設
 原発事故に伴う除染廃棄物を最長30年間保管するため、環境省が大熊、双葉両町の福島第一原発周辺に建設する施設。面積は約16平方キロで約3千万トンの貯蔵が可能。貯蔵や減容化のための施設の他、空間放射線量や地下水のモニタリング、情報公開、効果的な減容化技術の研究開発・評価のための施設を併設する予定となっている。

カテゴリー:震災から4年

中間貯蔵施設の一時保管場に運び込 まれる除染廃棄物=3月、双葉町

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