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旅館復活笑顔の誓い 「地域に恩返しを」 従業員や資金確保乗り越え 常連客の声支えに

従業員と共に料理の準備をする徳永さん(右)

■いわき「なぎさ亭」おかみ 徳永真理子さん(65)

 東日本大震災の津波被害を受けたいわき市四倉町の旅館なぎさ亭が再オープンした。一時は従業員を全員解雇し、商売を諦めたが、地域住民や常連客から再開を求める声が上がった。おかみの徳永真理子さん(65)らが従業員の再雇用に奔走し、開業資金の確保という壁も乗り越えた。徳永さんは「これからも地域に愛される旅館であり続けたい」と前を向いた。

 「地域にようやく明かりをともすことができた」。徳永さんは真新しい旅館を見上げながらつぶやいた。
 旅館は津波被害で2階の一部まで浸水した。全面改修工事が必要となった。営業を続けるのは不可能となり、平成23年3月、これまで旅館を支えてくれた従業員を断腸の思いで全員解雇した。休業中は避難生活を送っていた徳永さんだが、旅館での思い出を懐かしみ、復活を願って県内外から足を運んでくれる顧客は後を絶たなかった。
 「もう一度名物の創作料理が食べたい」「海を眺め、ゆっくりとした時間を過ごしたい」。顧客たちの温かい励ましの言葉が徳永さんの背中を押した。再開を決意した徳永さんの元に戻ってきた従業員もいた。旅館の改修費用は県のグループ補助金制度や銀行からの支援を受けて確保した。
 従業員は震災前10人だったが、7人からの再出発だ。3階建てだった建物は2階建てとなり、宿泊できる客の人数も70人から25人に減った。それでも太平洋を望む窓からの美しい景色、顧客への細やかな対応には自信がある。新鮮な野菜や魚を使った自慢の創作料理も提供できる。ゴールデンウイーク中も団体や一般の宿泊客でにぎわった。
 徳永さんは、忙しいながらもやりがいを感じている。「これからは旅館を通して、お世話になった皆さんに恩返しをしていきたい」と笑顔を見せた。

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