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福島をつくる(41) 第4部 六次産業化 だてプロジェクト(伊達)

なんちゃってだて巻を切り分ける木幡

<特産品使い新商品>

 伊達市保原町の中心部に木幡睦人(39)が切り盛りする居酒屋「時幻」がある。「あれを1つ」。26日、常連客が、厨房(ちゅうぼう)に立つ木幡に注文した。
 市特産の「伊達鶏」のもも肉を煮込み、厚焼き卵で包んだ「なんちゃってだて巻~親子ロールデザート風~」だ。木幡らが6次産業化(6次化)商品として考案した。包丁を入れ、切り口を確かめるたびに、「地域の活性化に一役買ってほしい」と願いを込める。

 木幡は平成24年2月、市内の飲食店でつくる伊達社交飲食業組合の組合長に就いた。23年3月に起きた東日本大震災と東京電力福島第一原発事故以前から、市内では少子高齢化で飲食店の数は減り続けていた。そこに震災と原発事故が追い打ちを掛けた。
 売り上げの減少だけではなく、住民の自主避難で働き手がいなくなり、店を閉める経営者もいた。15年前、市内保原町に130店ほどあった飲食店は100店を切るまでになった。「組合長として、店主として、市民として危機感があった」。木幡は就任当時を振り返る。
 「地域の復興に取り組まなければならない」。組合は25年、街に人を呼び込み、活気を取り戻そうとイベントを仕掛けた。9月に飲食店を巡るスタンプラリーの開催、12月に期間限定の屋台村の開設...。期間中は仕事帰りの市民やカップルらが街に繰り出した。
 だが、盛り上がりは一時的で、リピーターの獲得には必ずしもつながらなかった。スタンプラリーの安い料金設定で来店する客は増えたが、元の料金に戻ると客足は伸び悩んだ。

 「継続的に客を呼び込むための新たな仕掛けが必要だ」。木幡がそう感じていたころ、市内の農産物を使って商品開発を目指す市の「だて6次化推進プロジェクト」が発足した。
 25年10月の初会合には市内の商工会や市観光物産協会、だて青年会議所、市認定農業者会の関係者、一般公募で選ばれた市民らが顔をそろえた。木幡も名を連ねた。地域経済の活性化、地産地消の促進、風評の払拭(ふっしょく)、観光客の誘客...。それぞれ立場は違うが、思いは共通していた。
 「地元でいつでも食べられる特産品が完成すれば、それを目当てに客を呼び込めるかもしれない」。木幡の期待は膨らんだ。(文中敬称略)

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