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福島をつくる(44) 第4部 六次産業化 だてプロジェクト(伊達)

伊達市観光物産協会でガイドマップを準備する佐藤

<マップで情報発信>
 伊達市の「だて6次化推進プロジェクト」は4月、六次産業化(六次化)商品として開発した「なんちゃってだて巻」の販売店を紹介する食べ歩きガイドマップを作製した。プロジェクトの事務局を務める市観光物産協会の提案がきっかけだった。「いろいろな味を、多くのお客さんに味わってほしい」。職員の佐藤聡子(45)はマップを作った狙いを話す。
 片面に商品の写真と紹介文、店の連絡先などを掲載した。もう片面には地図と店舗の位置情報を載せた。約6万5000部を用意し、4月8、9の両日、福島、伊達、桑折、国見、川俣の近隣市町と宮城県の一部に新聞折り込みで配布した。各店舗や伊達市観光物産協会などにも置いた。

 市内保原町のバー「Fine Bar Sora」で、春巻き風に仕立てた「なんちゃってだて巻」を売り出した中島隆(38)は、すぐにガイドマップの恩恵を受けた。配布して間もなく、マップを見た人が店を訪ね、商品を注文した。「商品開発に協力して良かった」と実感した。
 プロジェクトのメンバーで、居酒屋を営む木幡睦人(39)の店にも新規の客が来るようになった。「他の店で食べておいしかった。店主にいろいろな味があると紹介を受けて来た」。客の言葉に喜びが込み上げた。
 数種類を用意し、相乗効果で発展させる―。狙い通りの効果が表れ始めた。
 一方で、完全な六次化には課題もある。伊達鶏や卵は地元産を使っているが、それ以外は必ずしも地元産ではない。市内産の野菜、特に葉物野菜は年間を通じて仕入れるのが難しく、価格も変動する。「商品の味や価格を一定に保ちたい」と、野菜を市外から仕入れる店主は少なくない。

 プロジェクトメンバーの大橋佐紀子(70)は地元野菜の使用を呼び掛ける一人だ。大橋は10年以上前、保原町商工会女性部長として「豆っこもちもち」と名付けた団子を開発した。材料には地元産のジャガイモ、豆などを使った。団子を入れた「豆っこ汁」は平成16年の「ふくしま特産品コンクール」で大賞を受けた。当時を振り返り、「地元の人に喜ばれるし、地域の一体感をアピールできる」と訴える。
 木幡も「今後は完全な地産地消に向けた取り組みが必要だ」と感じている。既に知り合いの農家に野菜を通年で仕入れられないか打診している。市内産の食材で全てが賄えれば、プロジェクトは目標達成に大きく近づく。「地域の農家が潤い、店がにぎわい、街が盛り上がる。そんなまちづくりに挑戦したい」。木幡は六次化の未来を思い描く。
 いわき市では、企業の後押しを受け、農産物の新たな可能性を探る挑戦が始まっている。(文中敬称略)

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