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【津波被災地 復興道路】全額国費と県負担混在 整備の進捗 差出る恐れ

 県が沿岸部の復興に重要な役割を果たすとして「津波被災地復興まちづくり支援道路」に指定した県道12路線のうち、8路線は平成28年度以降も全額国費で整備されることになった。残る4路線は県の負担が生じる可能性が大きい。復興庁が一部事業で地元負担を求める方針を示しているためだ。各路線とも津波で被災したが、財源によって整備の進み方に差が出る懸念があり、県は全額国費に向けた働き掛けを強めている。

■話が違う
 県が沿岸部の復興を支援する道路に位置付ける県道12路線は【下記】の通り。津波からの多重防御や避難経路の確保などの重要な機能を持つとして、地元市町の復興計画と連携して県が主体となって整備する。このうち新地町、相馬市、南相馬市の北部、いわき市などの沿岸部を通る相馬亘理線や新地停車場釣師線など8路線は、全額国費の復興交付金で整備される。
 一方、県負担が生じる可能性がある4路線は南相馬市や浪江町など5市町を通る幾世橋小高線や長塚請戸浪江線などで、国の社会資本整備総合交付金(復興枠)を活用する。27年度まで地方負担はなかったが、国は28年度から一部負担を求める方針に転じた。いずれも原発事故に伴い沿線に避難区域が設定された影響で、地元自治体による復興計画の策定が進まず、復興交付金申請に間に合わなかった経緯がある。
 県の担当者によると「国から復興交付金と同じで負担のない社会資本整備総合交付金を活用すれば問題ないと説明を受けた」と明かす。試算では4路線で億単位の負担が生じる可能性がある。県は整備の進捗(しんちょく)に差が出れば被災地の復興や住民帰還の遅れにつながる、と懸念する。「今さら負担を求められても納得できない。同じ沿岸部で差をつけるのはおかしい」と県幹部は憤る。

■県財政を圧迫
 県によると、地方負担が生じる可能性のある社会資本整備総合交付金事業(復興枠)で整備する国・県道は県全体で141路線に上る。県の試算では、28年度から5年間で、同交付金を使う国・県道の整備には3200億円が必要となる。避難区域が設定された12市町村の復興の加速化や避難道路となる「ふくしま復興再生道路」の760億円も含まれる。
 復興庁が示した方針は、社会資本整備総合交付金(復興枠)で整備する道路について、1~3%程度の地方負担を求める意向で、県負担は100億円近くに上る可能性がある。県の一般道路の整備費は年間400億円前後。県の担当者は「(復興・創生期間の)5年間で新たに100億円近くの負担が生じれば財政を圧迫し、道路事業の一部休止や遅れにつながりかねない」と危機感を抱く。

■平行線
 竹下亘復興相は26日の復興推進委員会で、「被災地の自立」を理由に公共事業について地方に一部負担を求める考えをあらためて強調した。内堀雅雄知事は全額国費による事業継続を求め、議論はかみ合わなかった。
 国は今週中に復興事業費の負担割合などを示す方針だ。県は国の方針を基に再度、国への要望活動を展開する構えで、復興事業費をめぐる協議は最終局面を迎えている。

■津波被災地復興まちづくり支援道路
【復興交付金事業】(全額国費)
(1)県道相馬亘理線
(2)県道新地停車場釣師線
(3)県道金山新地停車場線
(4)県道原町海老相馬線
(5)県道久之浜港線
(6)県道豊間四倉線
    ※一部は社会資本整備総合交付金(復興枠)活用
(7)都市計画道路平磐城線
(8)県道泉岩間植田線
【社会資本整備総合交付金(復興枠)事業】(一部県負担)
(9)県道北泉小高線
    ※一部で復興交付金活用
(10)県道広野小高線
    ※一部で復興交付金活用
(11)県道幾世橋小高線
(12)県道長塚請戸浪江線

【背景】
 国は平成28年度以降の5年間(復興・創生期間)の復興事業費の基本方針で、「防災など全国共通の課題に該当する事業は自治体負担を導入する」とし、復興特別会計で実施する公共事業にも地方負担を求めた。社会資本整備総合交付金(復興枠)事業は被災地だけでなく内陸部でも活用されており、地方負担導入の対象となっている。

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