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福島をつくる(47) 第4部 六次産業化 いわき協議会(いわき)

今後の活動などを話し合う白石(左奥)らいわき6次化協議会のメンバー

<若手農業者を刺激>

 焼きねぎドレッシングを完成させた、いわき市の「Hagiフランス料理店」オーナーシェフの萩春朋(39)は平成23年夏、収穫前のまだ青いトマトを使ったジャムづくりに乗り出した。
 青いトマトは、赤くおいしいトマトを作るために、通常であれば栽培の途中でいくつか摘み取り、廃棄してしまう。「捨ててしまうのはもったいない」。市内小川町のファーム白石代表の白石長利(34)が活用を提案した。青いトマトを口にした萩は、熟す前の段階のため、ジャムに必要な酸味が強いと気づいた。
 萩は試作を繰り返し、フルーツのような味わいに仕上げた。「青トマトジャム」として売り出した。「甘酸っぱくておいしい」。消費者の反応も上々だった。

 焼きねぎドレッシングと青トマトジャムは、東日本大震災後にいわき市を訪れた東京都や千葉県のボランティア、震災前からの首都圏の知り合いらの口コミで販売量を増やしていった。焼きねぎドレッシングは、1本200円や300円のドレッシングが主流の中、1本700円と値が張るが、今では年間3000本を売り上げる商品に成長した。
 野菜には旬があり、消費者に届ける時期は限定される。自慢の野菜を加工品にすれば販売期間を延ばせる。加工品の販売が進んだことで、白石は震災前に約2・5ヘクタールだった農場を約4・5ヘクタールに広げた。「農業者の収益を増やせれば、若者が農業に参入しやすくなり、後継者の育成にもつながる」。2人の夢も広がった。

 昨年12月、2人の取り組みは新たな展開を迎えた。食に携わる農業者や料理人、販売者らによる「いわき6次化協議会」が発足した。加工品を作るには農業者だけでなく、萩のような料理人、消費者に直接、料理を提供する飲食店などの考え方も必要だった。
 白石が会長、萩が副会長に就いた。集まったのは11人で、ほとんどが30代の若手だ。2人の挑戦は、「いわきの農作物の魅力を発信し、農業を活性化させたい」と考えている若手農業者らに刺激を与えていた。協議会にアドバイザーとして参加している、いわき市見せます!いわき情報局見せる課係長の新妻敬(43)は「若い力で、いわきの野菜を加工品としてブランド化し、全国に広げてほしい」と期待する。
 「いわき産の食を復興させ、農業を次世代につながる産業に成長させよう」。初会合でメンバーは気勢を上げた。その熱意は東京に本社を置くキリンにまで届いた。(文中敬称略)

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