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今を生きる 古里守る58歳新人医師

58歳で研修医として働く志賀さん

■いわき・福島労災病院の初期臨床研修医 志賀忠夫さん

 古里いわきの医療のため少しでも役立ちたい-。4月から、いわき市の福島労災病院で初期臨床研修医として働く志賀忠夫さん(58)は、51歳で医師を志し、今年2月、医師国家試験に合格した。「毎日が勉強で大変だが、病院に来るのが楽しみ」と新人医師として充実した日々を送っている。
 いわき市出身。磐城高から千葉大工学部建築学科に進み、同大大学院工学研究科を修了した。総合コンサルタント会社に地元いわきで採用され、都市計画の仕事などに携わった。
 もともと、建築と医学に興味があった。建築の道に進んだが、医学の道も忘れていなかった。20年前に父と兄、12年前に母を病気で亡くしたことも、医師に挑戦する契機となった。50歳を過ぎて、「これが最後のチャンス」と医学部受験を決意、猛勉強の結果、山形大医学部に合格した。
 6年間で無事、卒業したものの、その年の医師国家試験に失敗。今年2月に再挑戦し、見事合格した。「あらためて勉強すると本当に難しかった。合格した時は、人生でベスト3に入るくらいうれしかった」と振り返る。
 家族が病気の際、お世話になったのが福島労災病院。全国的な組織のため、多くの臨床例などを学ぶことができるのも魅力だった。何より58歳という年齢にもかかわらず、温かく迎えてくれる雰囲気を感じ、初期臨床研修の場に選んだ。
 現在は指導医とともに、病棟や外来の患者を診察する日々だ。「患者さんが協力的。スタッフも研修医の自分を育てようと感じてくれている。学ぶのにはとてもいい環境」と職場に感謝する。
 臨床研修医担当責任者の江尻豊副院長は「人生経験があるので、こちらが学ぶこともある。年齢を感じさせない若々しさで、謙虚に一生懸命、取り組んでいる」と評価する。
 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の影響で本県の医師、看護師不足が大きな問題になっている。「技術があってこそ、患者さんと信頼関係を築ける。早く技術を身に付け、患者さんが話し掛けやすい医師になりたい。古里の医療のために少しでも貢献したい」と目標を掲げている。

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