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【震災から4年3カ月】「災害公営住宅」369戸用地確保できず

 東京電力福島第一原発事故に伴う長期避難者向けの災害公営住宅で、県が整備する4890戸のうち369戸分の建設用地が確保されていない。整備を予定した場所で、複数の地権者との合意形成に時間を要しているためだ。県は平成29年度末までの全戸完成を目指すが、土地の造成に予想以上の時間を要する現場もあり、工期の遅れが懸念されている。


■地権者と交渉難航 造成に時間 工期遅れの懸念も 災害公営住宅の応募状況

 県内15市町村で計画されている原発事故の避難者向け災害公営住宅の整備状況は【図】の通り。これまでに509戸が完成し、平成27年度に652戸、28年度に2230戸、29年度に1130戸を整備する予定。

 一方、369戸の建設場所がいまだに決まっていない。いわき市内が最も多く296戸、広野町内が58戸、会津若松市内が15戸と続く。県は3市町内で災害公営住宅を建てる地域を決め、建設用地を探している。団地を造成するためには、まとまった面積が必要になり、複数の地権者と協議を進めているが、関係者全員の合意を得るまでには至っていない。

 地権者が県外に住んでいる土地もある。相続の手続きが取られていないなど、権利の調整に時間を要し、用地買収が遅れているケースもあるという。

 一方、これまで取得できたのは田畑や山林が多い。市街地では、一定規模の面積をまとめて確保するのが難しかったためだ。特に沿岸部のいわき市は地盤が弱いため造成に予想以上に時間がかかる場合があるという。県の担当者は「工期短縮に向け、あらゆる手段を検討したい」と説明している。

 原発事故による避難者向けの災害公営住宅は当初、避難元の市町村が整備する方向だった。しかし、県は行政機能を移転している双葉郡内の町村にとって、住宅整備の業務は大きな負担になると判断。県が直接整備し、管理・運営する県営住宅として建設する方向に転換した。

 こうした方針が決まったのは24年度だが、既に市町村が整備する地震・津波被災者向けの災害公営住宅が一部で着工していた。また、仮設住宅が建設され、浜通りの公有地など条件の良い土地は残りが少なかったという。

 地震・津波被災者向けは計画全体の約6割に当たる1617戸(4月末)が完成している。


■地域差鮮明に いわき高倍率 福島、若松、郡山、南相馬定員割れ

 原発事故に伴う避難者向け災害公営住宅の入居者募集では、いわき市で高倍率が続く一方、福島、会津若松、郡山、南相馬の各市で「定員割れ」が起きるなど地域差が鮮明になっている。

 県はこれまで、三期に分けて2086戸の入居者を募集した。応募状況は【表】の通り。いわき市の二期(平成26年10〜11月募集)は応募戸数が少なかったこともあるが、一般住宅で21倍、高齢者や要介護者向けの「優先住宅」で15倍となった。県の担当者は「いわき市は避難者の多い双葉郡に隣接しており、気候が似ているため人気を集めている」と分析している。

 一方、福島市の一期(26年4〜5月募集)の一般住宅、郡山市の三期(27年4〜5月)の優先住宅などは応募が募集戸数を下回った。

 三期では16団地中、12団地で応募が募集戸数に届かず、8月上旬に再募集する。県は再募集でも空きが出る場合、対象市町村以外の避難者も入居できるようにしている。さらに、親族がいない場合などで、連帯保証人がいなくても入居契約できるようにした。


■「災害公営住宅」できるだけ供給前倒し 県土木部長 大河原聡さんに聞く

 県の大河原聡土木部長に、原発事故に伴う避難者向け災害公営住宅の整備に対する考えを聞いた。大河原部長は可能な限り、供給を前倒ししたいとする考えを示した。

 −当初、全戸完成は平成28年度内の予定だったが翌年度にずれ込んだ。

 「あらゆる手段を講じて、平成29年までに完成させ、できるだけ供給を前倒ししたい。26年度は計画通り509戸を完成させることができた」
 −整備に時間を要している原因は。

 「過去に例のない規模で住宅建設を進めている。地権者が複数いて、用地買収に時間を要している。建設地の地盤が軟弱で、想定以上に大規模な造成工事が必要となるケースもある」
 −整備を加速させる対策はあるか。

 「木造住宅や鉄骨造りの中層住宅の買い取り方式を導入した。郡山市安積町荒井地区やいわき市常磐関船地区は工期が3〜4カ月短縮される見通しだ。入札不調が起きないよう、発注情報を早期に発信し、建設業者が応札しやすい環境をつくる」

カテゴリー:震災から4年

約50世帯が暮らす湯長谷団地24号棟=いわき市

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