東日本大震災

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県展開幕 日本画県美術賞・いわきの鈴木礼公さん 津波乗り越え名作生む

震災後も日本画を描き続ける鈴木さん

 福島市の県文化センターで19日に開幕した県展には、いわき市で日本画を制作する鈴木礼公(ゆきたか)さん(40)の日本画「道端」が展示されている。東日本大震災で市内久之浜の自宅が被災した後も作品を描き続け今年、日本画の部で県美術賞を受けた。

 洋画家の父・故湖月健太郎さん、日本画家の母・当志子さん(66)の下で幼いころから絵に触れて育った。震災の年の1月、健太郎さんが病に倒れた。自宅に隣接していたアトリエを閉め、市内平のアトリエのみを拠点に、親子で創作活動をしていた。震災当日は親子3人ともアトリエにいて、被災は免れたという。
 しかし自宅は流され、アトリエに残っていた画材や作品の多くが消失した。その年の12月には健太郎さんが64歳で亡くなり、筆を持つこともためらったが「年に一度の県展にだけは出し続けよう」と決意を固め、描いてきたという。
 「道端」は猫と自転車を描いた。人と人との関係性について考えながら、猫と自転車、それぞれの主張を表現したという。通常はシルク(絹)に描いているが、今回は慣れない紙に描き、作品と向き合った。受賞について「とても驚いている。今後は筆を持つ時間を増やし、さらに意欲的に描きたい」と話し、技術の向上を誓っている。
 県展では、浪江町からいわき市に避難している近藤賢さんの陶芸「innocent blue」が工芸美術の部で県立美術館長賞を受け、展示されている。

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