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【除染廃棄物】現場保管10万カ所超 輸送開始時期見えず 中間貯蔵工程表作成遅れ

 東京電力福島第一原発事故に伴う除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設の建設を県が受け入れてから間もなく1年を迎える。県は復興を加速させるために判断し、その後の除染は着実に進んでいる。一方で行き場のない廃棄物を庭先などで管理する現場保管が急増し、県内で10万カ所を超えた。多くの現場保管を抱える市町村からは環境省に対し、本格輸送の開始時期の見通しを早急に示すよう求める声が上がる。

■行き場失う
 県によると、国費で行う36市町村の住宅除染は今年6月末時点で実施対象約43万2千戸に対し、約6割の約26万4千戸で完了した。前年同期の13万6千戸から倍増した。国が直轄で行っている避難指示解除準備、居住制限両区域の住宅除染も28年度末までに全て終了する見通しとなっている。
 一方で、仮置き場には廃棄物約230万立方メートルが保管されている。これまでにパイロット(試験)輸送で中間貯蔵施設に運び出されたのは約0・5%の約1万1千立方メートルにとどまる。仮置き場は満杯状態で、新たに除染で出た廃棄物は行き場を失っている。
 県が集計した現場保管数の推移は【グラフ】の通り。今年3月末時点で10万2093カ所に上る。1年前の26年3月末は5万3057カ所で、1年間でほぼ倍になった。県の担当者は「今後も同様のペースで増え続けるだろう」と推測する。

■自治体の悲鳴
 今年3月末の現場保管が4万7526カ所で県内最多の福島市は本格輸送の前段となるパイロット輸送の開始時期すら提示されていない。担当者は「多くの市民から『早く自宅から持っていって』との声が寄せられる。新たな仮置き場を設けたいが、搬出時期の見通しが立たず、地権者や周辺住民の理解を得られない」と頭を抱える。
 郡山市は、本格輸送に備えて現場保管の廃棄物を集約する「積込場」の整備を検討している。しかし、担当者は「輸送スケジュールが不透明では、整備計画すら立てられない」とため息をつく。

■早期提示を
 今年3月に中間貯蔵施設への廃棄物搬入が始まった際、環境省は汚染土壌の輸送スケジュールをはじめ、県外最終処分に向けた工程を「2~3カ月でまとめる」との考えを示した。しかし、半年近くが経過した今も、公表されていない。同省の担当者は「減容化の技術の検討などを始めたばかり。いつ示せるかは分からない」とする。
 同省と県、大熊、双葉両町が締結した安全確保協定では、工程表の作成と毎年の進捗(しんちょく)の報告を国に義務付けた。県の担当者は「工程表の作成が遅れれば、現場保管の対応などにも影響が出る」として、早期の提示を求める方針だ。


【背景】
 中間貯蔵施設をめぐっては、平成26年8月30日、県が大熊、双葉両町の了承を得て、建設受け入れを正式決定した。同9月1日には佐藤雄平知事(当時)が首相官邸で安倍晋三首相に建設受け入れを伝えた。環境省は同月から、両町にまたがる約16平方キロの2365人に上る地権者との用地交渉に着手。今年7月末までに850人と接触し、570人が現地調査に同意した。しかし、契約に至ったのはわずか5人となっている。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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