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学生の合宿回復 会津 費用補助制度が奏功 観光復興弾みに期待

初の西会津合宿で練習に励む慶応大野球部ナイン

 大学・高校生の合宿を誘致している会津地方の自治体で、東京電力福島第一原発事故に伴い落ち込んだ受け入れの状況が大きく改善している。南会津町では今年度、合宿による延べ宿泊者数が昨年度全体の2倍近い約1万3000人(予定含む)に達した。西会津町では今夏、慶応大野球部が初めてキャンプを張った。行政による宿泊費補助などが好調の要因とみられ、経済界は「観光業の復興につながる」と歓迎している。
 法政大応援団は今月9日から18日まで、南会津町で合宿した。団長の長崎吉満さん(21)=人間環境学部4年=は「福島は自然が豊か。食べ物がおいしく、人情味にあふれている」と魅力を語る。
 昨年初めて、南会津を夏の合宿地に選んだ。団員は山々に囲まれた町の落ち着いた雰囲気に魅了され、全員一致で今年の「再訪」を決めた。
 町によると、今年度の合宿による延べ宿泊者数は申し込みを含め2日現在、約1万3000人に達し、早くも昨年度全体を約5200人上回った。
 町関係者は今年度、本格的に始めた「合宿誘致推進事業」が奏功していると分析している。宿泊者数に応じ、県内団体に最大15万円、県外団体に同30万円を助成しており、県内外の95団体から申し込みがあった。当初予算で1000万円確保したが不足する見通しとなり、9月定例議会で補正予算を組む方針だ。
 ただ、町内部には「補助制度がなくとも合宿を呼び込める態勢づくりが必要」だとする意見があり、今後さらに町の自然や観光施設などのPRに力を入れる。
 北塩原村の合宿による延べ宿泊者数は、原発事故直後の23年度には約4600人だった。昨年度は約1万人にまで回復、今年度も同程度の受け入れを見込んでいる。県内団体に5万円、県外団体に10万円を助成している。村は合宿誘致を強化するため、7月に陸上用トラック施設「スポーツパーク桧原湖」に2レーンを新設した。
 村内で「民宿ひばら」を営む伊藤勝さん(54)は、「合宿を含めた宿泊者は、原発事故前の水準に戻りつつある」と手応えを感じている。
 慶応大野球部は、福島ホープスを運営する福島県民球団の関係者から西会津町を合宿地として紹介された。町は福島ホープス西会津球場に打撃用ネットを新調して歓迎した。東京六大学野球秋季リーグ戦に向け、17日から22日までの「キャンプ」を終えた同部マネジャーの山木優佑さん(20)=法学部3年=は「素晴らしい施設で、町の支援はありがたい。来年以降も(合宿を)検討したい」と話した。

■川内の施設利用増 いわき、南相馬は受け入れ回復せず
 原発事故の影響で休業し、25年6月に営業を再開した川内村の宿泊施設「いわなの郷」では、合宿・研修の利用が増えている。今月は東京の単位制高校・大智学園高校の運動部員、長崎大生が利用した。
 一方、関係者によると、いわき、南相馬両市では合宿の受け入れは回復していない。福島第一原発の関係者、除染作業員らが滞在し、宿泊施設に空きが少ないことが影響しているという。県南地方では、原発事故前の状況に戻り切っていない宿泊施設が多いとみられる。

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