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【震災から4年6カ月】「中間貯蔵施設と除染」 用地確保難航


 東京電力福島第一原発事故に伴う除染廃棄物を中間貯蔵施設に運ぶパイロット(試験)輸送が3月13日に始まってから間もなく半年となる。環境省は試験輸送分の保管場を施設内に確保したが、大熊、双葉両町の地権者との交渉は進まず、本格輸送分の用地確保、さらには施設建設の見通しが立っていない。一方、県内各地では除染が進むにつれ、行き場を失った廃棄物が増えている。
 
■試験輸送 会津でも始動
 
 除染廃棄物の中間貯蔵施設へのパイロット(試験)輸送は国直轄除染や国の財政支援を受けた除染を実施している計43市町村が対象となっている。今年3月に始まり、約1年間かけて運び込む。試験輸送後の本格輸送に向け、安全対策などの課題を探っている。
 中間貯蔵施設への搬入状況と輸送ルートは【図】の通り。7日現在、13市町村で試験輸送に着手した。中でも「先行輸送」と位置づけた双葉郡と田村市の9市町村では楢葉町以外で搬入が完了。その他、棚倉町と浅川町でも終え、郡山市といわき市で作業が続いている。
 試験輸送は本来、中間貯蔵施設から比較的近い自治体から範囲を広げていく方針だったが、環境省は積雪による事故・渋滞などの安全面を考慮し、会津地方からの搬入を今秋から始める方針を示した。会津美里町は8日、会津坂下町は今月下旬、湯川村は10月下旬から開始する。
 同省はこれまで半年間の搬入状況を「おおむね順調」としている。
 試験輸送では、対象43市町村から約千立方メートルずつを中間貯蔵施設の保管場に運んでいる。
 
■一時保管場 6万平方メートル整備
 
 中間貯蔵施設建設予定地は福島第一原発周辺の大熊、双葉両町にまたがり、総面積は約16平方キロとなる。この中にパイロット(試験)輸送で運び込まれた廃棄物を一時的に置く保管場約6万平方メートルを整備している。総面積の0・4%に当たる。
 環境省が示した中間貯蔵施設内の各施設の配置予定と保管場の位置は【図】の通り。保管場は大熊、双葉両町に一カ所ずつあり、合わせて廃棄物約5万立方メートルを受け入れられる。2日現在、試験輸送の対象13市町村から約1万2500立方メートルが運び込まれた。
 保管場以外は用地確保が難航しているため、施設の建設、本格稼働の見通しは立っていない。同省によると地権者は2365人で連絡先を把握している地権者の所有地が施設全体の約8割を占めているという。同省担当者は「確保できた土地から着工したい」としているが、8月15日時点で同省と売買契約に至ったのは、わずか七人。建物の評価額算定作業などに時間がかかり、金額の提示まで至っていないのが現状だ。
 地権者交渉の難航と試験輸送の広域化に伴い、県は7月、地権者交渉などについて国との「パイプ役」を担う職員を大熊、双葉両町に各一人配置した。
 県内の除染で出た廃棄物を一時保管する仮置き場は、満杯状態が続き、新たに除染で出た廃棄物は行き場を失っている。県によると、6月末現在で県内には、住宅の庭先や学校の敷地内など約11万5千カ所で除染廃棄物の「現場保管」を余儀なくされている。今年3月末現在より、約1万3千カ所増えた。県の担当者は「今後も現場保管が増え続ける」とみている。
 市町村からは、同省に対して本格輸送の開始時期の見通しを早急に示すよう求める声が上がっている。
 
■指定廃棄物の民間管理型処分場
 
 東京電力福島第一原発事故で発生した指定廃棄物を富岡町の民間管理型処分場「フクシマエコテッククリーンセンター」に埋め立てる最終処分計画をめぐり、環境省は6月、責任を明確にするための施設国有化と、地域振興に向けた自由度の高い交付金制度導入を打ち出した。
 富岡町と施設の搬入路がある楢葉町、県は8月、同省に対し、施設の安全対策や地域振興策をさらに具体的に示すよう申し入れた。両町は回答を見極めながら、慎重に対応する方針だ。
 同省は6月に住民を対象とした説明会を開いた。国の考え方などに理解を求めたが、出席者からの発言は計画に反対する内容が目立った。
 富岡町内の施設に近い地域からいわき市に避難している会社員男性(52)は「地元としては納得できない。風評や安全面への不安は拭えず、帰還しようとする町民が減ってしまう」と危惧した。一方、理解を示す町民もおり、郡山市に避難している富岡町の無職男性(59)は「迷惑施設ではあるが、どこかにはなければならない。国有化で安全が担保されるのであれば、復興を進めるために受け入れも仕方がないのでは」と語った。
 同省の計画では、放射性セシウムの濃度が1キロ当たり8000ベクレル超、10万ベクレル以下の汚泥や稲わらなどの廃棄物をフクシマエコテッククリーンセンターで処分する。
 
■環境省対応に不満 地権者「交渉になっていない」「一方的な説明ばかり」
 
 昨年8月末に県が中間貯蔵施設の建設を受け入れてから1年が過ぎたが、整備に向けた大熊、双葉両町の用地確保はほとんど進んでいない。地権者からは環境省の対応に不満が噴出している。
 「交渉になっていない」。地権者有志でつくる30年中間貯蔵施設地権者会の門馬幸治会長は憤りを隠さない。同会には大熊町と双葉町の地権者約100人が参加している。地権者を代表して門馬会長らが同省と定期的な話し合いの場を設け、用地価格設定方法や30年後の県外最終処分の具体化などについて交渉している。
 地権者からは、かねてより「住民目線に立った説明が足りない」などの声が相次いでいた。門馬会長によると、こうした反応を踏まえ、話し合いの場には課長級の参事官らが出席するようになったが、交渉の進展にはつながっていないという。「一方的な説明ばかりで、こちらに歩み寄る様子は見えない」と嘆く。「話し合いの場を公開して透明性を高めないと交渉自体が進まないのでは」と感じている。
 施設の建設予定地に自宅がある双葉町の男性も、同省の姿勢に納得していない。計画について話を聞いたのは昨年開かれた地権者説明会の一回だけ。納得できる内容ではなく「もう一回、しっかり説明してほしい」と訴える。土地の契約については、所有者であることの確認に担当者が一度訪れただけで、交渉には至っていないという。
 何より気になるのは町の将来だ。県内各地から運び込まれる除染廃棄物の保管期限である30年後、町をどのように復興させるのか。「国はまず計画を示すべきだ」との思いが強まっている。

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