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【人口減少対策】総合戦略策定に苦慮 県内月内完了は17市町村

 県内59市町村の約7割が、人口減少対策となる「地方版総合戦略」の取りまとめに苦慮している。策定済みか作業を終える見通しがついたのは17市町村にとどまる。他の自治体では東日本大震災からの復旧業務に人手を取られ、職員のやりくりがつかない自治体が目立つ。今年度内に完了しない場合、関連する交付金を受けられない恐れがあり、関係者は「復興事業を抱える県内の特殊事情を理解してほしい」と訴えている。

〈復旧・復興で手回らず〉
■低調
 国は今月末までに総合戦略を策定する市町村に対し、平成26年度補正予算で確保した地方創生先行型交付金の一部(総額300億円)を配分する。
 県によると、総合戦略を策定したか見通しが立ち、交付金を申請したのは【表】の通り。13市では福島、会津若松など約半数の7市が含まれている。いわきなど6市は間に合わなかった。46町村で申請したのは桑折、三春など10町村。東京電力福島第一原発事故に伴い避難区域が設定された12市町村からの申請はなかった。
 県内で交付金の対象となるのは全体の約3割だが、内閣府によると、全国で申請したのは全体の約4割に当たる698市町村にとどまっている。

■人手不足
 市町村からは「総合戦略の策定に当たる職員を十分確保できない」とする声が上がる。
 津波被災地を抱える新地町は復旧・復興業務を優先的に進めている。担当者は「全庁的に人的余裕がない状況」だと説明。現在の人員でやりくりしつつ、国が努力義務としている来年3月までの取りまとめを目指す。
 山間部の小規模自治体も人手が足りない状況が続く。三島町で総合戦略を担当するのは地域政策課の職員4人。観光や商工労働などの業務を掛け持ちしながら作業に当たっている。担当者は「何とかやりくりしているのが実情」と明かす。
 総合戦略にどのような項目を盛り込むのか。国が詳細を示したのは今春で、策定期間が短いという指摘も出ている。郡山市は6月に有識者検討会を設け、業務を本格化させた。しかし、市民アンケートの実施・分析、市総合計画との調整など作業が山積している。担当者は「多くの工程を経る必要があり、どうしても時間がかかる」と嘆く。

■不透明
 国は28年度、総合戦略を策定した都道府県と市町村に対し、戦略を具体化する財源として総額1080億円の新型交付金を用意している。今年度内に策定を終えない場合、交付を受けられなくなる。
 県内のある町の担当者は「復興事業が続く県内の状況に配慮し、柔軟に対応してほしい」と求めている。
 一方、新型交付金の規模に疑問を抱く自治体関係者も多い。26年度補正予算で確保した先行型交付金の総額1400億円を下回る上、事業費の半分が地方負担となる見通しとなるためだ。「総合戦略に盛り込んだ事業が、どの程度実現するか不透明だ」とする声も出ている。


〈総合戦略を10月末までに策定する市町村〉(既に策定済みを含む)
▼県北=福島、本宮、桑折、国見、大玉▼県中=須賀川、三春、小野▼県南=白河、矢吹、棚倉▼会津=会津若松、喜多方、会津坂下、金山▼南会津=只見▼相双=相馬


【背景】
 総合戦略は人口減少対策となる5カ年計画(平成27~31年度)で、国の地方創生事業の一環。都道府県と市町村に対し、28年3月までの策定を「努力義務」とした。国は本格的な実施に先立ち、26年度補正予算で総額1700億円を地方創生先行型交付金として予算化した。既に1400億円を人口規模などを基に都道府県と市町村に配分。残る300億円を、10月末までに総合戦略を策定するか、先駆的な事業計画を立案した市町村に交付するとした。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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