東日本大震災アーカイブ

【震災から4年6カ月】「賠償」 営業賠償2年分を一括払い 精神賠償支払継続も

新たな営業損害賠償の概要

 原発事故に伴う商工業者に対する今年3月以降の営業損害賠償について、東電は直近の年間逸失利益の2年分をまとめて支払った上で、その後の損害については個別対応に移行するとしている。
 今年3月以降の営業損害賠償の概要は【表】の通り。避難区域内の事業者には、原発事故前の利益に基づき、減収率を100%として利益の2年分を一括で賠償する。避難区域外の事業者には、風評被害で落ち込んだ分の収入の2年分を一括で支払う。
 東電の広瀬直己社長は8月5日の県議会全員協議会で、「『原子力損害の相当因果関係があって、合理的な範囲内で』というただし書きは付くが、2年後も損害が続くのであれば賠償していく」と明言した。ただ、県内の商工業者からは「個別の対応でどれだけ損害を認められるかは不透明で、実質的には賠償の打ち切りではないか」と懸念する声が上がっている。
 新たな賠償基準は、29年3月までに避難指示解除準備、居住制限両区域の避難指示を解除する政府方針を踏まえている。しかし、避難指示解除や生活基盤整備、事業再建などが政府の目標よりずれ込めば、賠償の枠組みは根拠を失う可能性がある。


■避難指示解除遅れた場合「30年3月以降も継続」 精神賠償

 避難指示解除準備、居住制限両区域の住民に対する東京電力の精神的損害賠償は一律で平成30年3月まで支払われる。金額は一人当たり月額10万円。
 避難指示の解除時期を問わず、事故から6年後(平成29年3月)に解除する場合と同等の賠償額とする。政府は29年3月までに両区域の避難指示を解除する方針で、東電は解除後1年分を上乗せして支払う。
 原子力損害賠償紛争審査会の能見善久会長は避難指示解除が遅れた場合について「30年3月以降も賠償が続く」との見解を示している。
 昨年、避難指示が解除された田村市都路地区、川内村の両旧避難指示解除準備区域の住民も対象となる。請求方法は一括払いか、30年3月まで三カ月ごとの支払いかを選べる。

カテゴリー:震災から4年