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県、土地収用法適用へ 地権者の把握困難地区 海岸堤防の復旧工事

 県は、県内沿岸部86地区(総延長68キロ)で進めている海岸堤防の復旧工事のうち、地権者の所在が不明だったり、権利譲渡が不明確で地権者が洗い出せなかったりする一部の地区で土地収用法を適用する方針を固めた。14日までに国土交通省東北地方整備局と事業認定に向けて協議に入った。現在の用地取得状況では目標とする平成30年度までの完成が困難となり、地域の復興に影響する恐れがあると判断した。県が同法を適用すれば、復興事業では初めてとなる。

■国と協議入り

 県は事前協議の内容について明らかにしていないが、土地収用法適用の対象として検討しているのは南相馬市など旧警戒区域が指定された複数の市町で、少なくとも10地区の海岸堤防に上るという。地権者の把握状況によっては、今後増える可能性もある県によると、用地交渉の難航などで海岸堤防を復旧する県内沿岸部86地区のうち、工事が完了したのは約1割の9地区(8月末現在)にとどまる。避難区域の解除に向けた動きが加速する中、県は海岸堤防の整備の遅れは、復興計画や住民の帰還に影響を及ぼしかねないと判断。用地交渉と並行して同法適用に向けた手続きを始めた。
 通常の公共事業の用地取得では、対象地域の地権者全員の同意が求められ、県は一人一人と交渉する必要がある。しかし、同法適用を検討する10地区では、把握できた地権者がいる一方で、戸籍が抹消されていたり、海外に転居後に行方が分からないケースなどが出ている。多い場所では一つの土地に約200人の地権者を抱え、複数人の所在が不明という例もある。
 県はこれまでの復興事業では、地元感情などに配慮し同法適用を見送ってきた。ただ、取得できない土地を避けて整備することが可能な道路や公共施設と違い、海岸堤防は機能上、別の場所に移すことが難しい。県河川整備課は「地権者の同意が前提だが、どうしても地権者の所在がつかめない場合は、土地収用手続きをせざるを得ない」と話す。
 東北地方整備局は事前協議の後、県の申請を受けて海岸堤防復旧工事が同法適用の条件となる「公益性の高い事業」かどうかを判断する。認定を受ければ、県が手続きに入り、第三者委員会の県収用委員会の裁決を経て、土地を収用する。

■※土地収用法
 公共事業の用地は自治体が所有者と売買契約を結ぶのが基本だが、防潮堤や道路、ダムなど公共性が高く、かつ規模の大きい公共事業で必要な土地の所在者が不明だったり、売却の同意が得られなかったりする場合に適用できる。国が公共性が高いと事業認定した場合、県収用委員会の裁決を経て、県が補償金を払い土地の権利を取得できる。

カテゴリー:福島第一原発事故

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