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初の全県規模原子力防災訓練 「雪対策や道路整備」広域避難に新たな課題

 県の原子力防災訓練は28日、避難先に会津地方を加え、初めて全県規模で行われた。広域避難計画に従い、いわき市小川町の住民ら135人が柳津町と三春町に向かった。高速道利用や複数のルート設定を試みたが、参加者からは積雪時の円滑な移動や渋滞対策、長距離・長時間輸送時の安全対策などを求める声が上がり、新たな課題が浮き彫りとなった。
 午前11時20分ごろ、避難中継所に設定された柳津町のやないづふれあい館に、いわき市小川町の住民ら16人が乗るバスが到着した。地元を出発して約3時間が経過していた。
 本郷一区長の小松五郎さん(67)は訓練の順調さにかえって違和感を覚えた。「実際の災害では人が一斉に逃げて混乱する。平時から大人数への対応を想定すべきだ。吹雪など荒天への対処も必要になる」と指摘した。
 県の広域避難計画は自力で避難できる住民は自家用車を使うと定めている。いわき市民の車は冬タイヤを装着していないケースが多い。参加者からは「降雪時の避難はバス中心にすべき」との意見も寄せられた。さらに、渋滞を見据えた防寒具や飲食物の準備など、体調面への配慮を求める女性もいた。
 いわき市原子力対策課技師の吉田裕さん(33)は今回の訓練に盛り込まれなかった課題に言及した。「本当の災害時は市内だけでも相当数のバスが必要だ。調達先を詰めなければならないだろう」と語った。住民の避難行動を把握し切れない事態を見越し「逃げ遅れた人を取り残さない安否確認の方法を確立したい」とも話した。
 三春町運動公園には午前11時ごろから住民ら119人を乗せたバス6台が順次到着した。高齢者ら支援を要する人が乗車していた。
 知人の車椅子を押していた山ノ入・淵沢地区の村井昌利さん(61)は「避難所にスロープがなく、移動が大変だった」と避難所に用いる建物のバリアフリー化を求めた。
 避難経路の複数化は渋滞対策のために取られた措置だ。山間部を越える東西の道路事情への不安は残った。小路尻地区の佐藤洋子さん(80)は小川町から県道小野四倉線と磐越道を使って三春町の避難先に移動した。県道は道幅の狭い区間もあり「対向車との擦れ違いが大変で何度も停車した。車が集中すれば渋滞してしまう」と懸念を口にし、道路拡幅の必要性を訴えた。
 参加者の声に対し、県危機管理部の樵隆男部長は「訓練は教訓や反省を生かすために行う。課題を分析して今後につなげる」と話した。

【参加者の主な声】
・冬の会津に自分の車で避難するのは雪があって不安
・渋滞などでバス内に長時間とどまった際の対策が必要
・避難経路の県道が狭く、車両が殺到すれば渋滞する
・実際の避難で大半の人が使うマイカーをどう誘導するのか

■震度6強想定 いわきから三春、柳津へ
 原子力災害を想定した県の広域避難訓練は昨年の川内村に続いて2度目。震度6強の地震で福島第二原発の使用済み核燃料プール冷却系が停止し、空間放射線量が毎時20マイクロシーベルトを超えて、いわき市小川町などに避難指示が出た-と想定した。
 訓練には県、関係市町村、自衛隊、県警、消防などの約300人が参加した。住民は小川町内の学校3カ所に集合。柳津町と三春町にバスで輸送した。移動ルートは【地図】の通り。
 土地勘の乏しい遠方への避難に対応する避難中継所の設置、車両用ゲート型モニターを使ったスクリーニングなどの新たな試みも行った。
 昨年の訓練では、住民の集合場所から避難先に向かうバスを一斉に移動させたが、車内での出発待ちの時間が長くなり問題視された。今回は搭乗予定者がそろったバスから順次発車させるように手順を見直した。

カテゴリー:福島第一原発事故

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