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県産原木全量検査へ 営林拡大で安全策強化

 林野庁と県木材協同組合連合会は、県内の山林から切り出された原木の全量放射性物質検査に乗り出す。東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域の一部解除などで間伐などの営林活動が再開するのに加え、新たな建材「直交集成板(CLT)」の普及による需要増も見込まれるためだ。来年1月にも郡山市の県中央木材市場と塙町の大規模製材工場に非破壊式検査機器を試験設置する。来年度から検査を本格化させ、県産材の安全対策を強化する。

 林野庁などによると、原木の放射性物質は大部分が樹皮に付着しているため、皮を剥いで製材すればほとんど検出されない。全量検査は、樹皮が付いたままの原木を入荷段階で選別することで、放射性物質濃度が比較的高い原木の流通を未然に防ぐ。同庁は今年度、安全な木材生産検証・開発事業として約1億円を計上している。
 検査方法としては、原木の長さや太さを選別する「自動選木機」に非破壊式検査機器を取り付けるのが有力だ。主要な原木市場や大規模製材工場に検査機器を導入すれば、県内で1年間に切り出される原木約70万立方メートル(東京ドームの容積の約半分に相当)のほとんどを測定できる見込み。
 想定される原木の全量検査の流れは【図】の通り。選別の基準や比較的高い濃度の放射性物質を含んだ樹皮の処理方法などは今後、詰めるが、一定の放射性物質濃度を上回った原木はそのまま市場に流通させず、樹皮を剥ぐなどの対策が必要になる。測定機器の精度や検査速度をいかに向上させるかも課題となる。

 原木の伐採・搬出をめぐっては、放射性物質濃度が比較的高い土壌などが樹皮に付着する可能性がある。これらの樹皮は産廃処理が困難なのが現状で、県は発生を抑制するため、原木の伐採・搬出時の指針を策定している。県木連は製材品出荷段階での表面線量検査の自主管理基準を設けている。一方、その中間に位置する原木の入荷段階での検査体制はこれまで未整備だった。
 原木の全量検査体制の確立を急ぐ背景には、県の「ふくしま森林再生事業」の本格化もある。国の財源で除染する「汚染状況重点調査地域」を対象にした事業で、26年度は595ヘクタールの民有林から約8700立方メートルの間伐材を切り出し、市場に流通した。一般的な住宅用建材(10・5センチ四方、3メートル)に換算すると約7万7千本に相当する。
 今後、広野、浅川、平田の3町村を加えた37市町村が取り組む予定で、間伐による原木生産はさらに増大する見込みだ。林野庁の担当者は「原木を製材すれば問題ないことは実証済みだ。全量検査で木材流通の安全性をさらに高めることで、市場からの信頼も高まる」としている。

カテゴリー:福島第一原発事故

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