■9月末現在
東京電力福島第一原発事故による子どもの甲状腺検査の本格検査(平成26、27年度)で、9月末までに甲状腺がんと確定した人は15人となり、前回公表(6月末現在)の6人から9人増えた。30日に福島市で開かれた県民健康調査検討委員会で明らかにされた。星北斗座長(県医師会副会長)は「(これまでの傾向などから)現時点で放射線の影響は考えにくい」との見解をあらためて示した。
がんの疑いは24人で6月末現在の19人から5人増えた。「確定」と「疑い」の計39人は男性16人、女性23人で、東日本大震災当時は6歳から18歳だった。事故から4カ月間の外部被ばく線量が推計できた23人のうち最大は2.1ミリシーベルトで、1ミリシーベルト未満は8人だった。
検討委はチェルノブイリ原発事故で多く見つかった5歳以下からがんが見つかっていないことや被ばく線量がチェルノブイリよりはるかに低いことなどを挙げ、「現時点で放射線の影響は考えにくい」との見解を示した。
平成23~25年度の先行検査の追加結果も報告された。甲状腺がんと確定した子どもは6月末現在から2人増えて100人、がんの疑いは1人減って13人となった。
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県民健康調査の今後の方針となる「中間取りまとめ」について委員が協議した。委員から「甲状腺がんと診断された子どもの内部被ばく線量を詳細に調べるべき」などの意見が出た。県民健康調査で得られたデータの活用・提供の在り方も議論した。
中間取りまとめは、来年2月に開かれる次回の検討委で策定する方針。
(カテゴリー:福島第一原発事故)