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【マイナンバー】 避難者に届かず苦慮 避難区域町村 現住所把握し切れず

マイナンバーの業務に当たる富岡町職員ら=富岡町役場郡山事務所

 東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域の町村で、マイナンバー制度の通知カードが役場に返送されるケースが相次いでいる。各町村は避難先として住民が町村に登録している住所に郵送しているが、転居を申告しない避難者がいるからだ。町村は住民に電話連絡するなどして現住所を確認して再送付するが、今後どの程度まで返送が増えるか見通しは立たず対応に苦慮している。

■想定外
 大熊町では送付総数約4800通のうち、これまでに約180通が戻ってきた。町によると、大部分の約160通は居住実態がないのが理由という。町は、町民の半数以上が避難しているいわき市内の郵送がまだ続いており、返送数は今後も増えるとみている。
 送付総数約8000通のうち、約150通が返送されてきた富岡町。今月1日だけでも約20通が戻ってきた。町の担当者は「想定外の事態が起きている」と嘆く。
 町の広報誌を毎月発送し、実際に届いている町民の住所に送付したが、届けられない事例が出ている。町に申告しないまま引っ越した町民の中に郵便局の無料転送サービスの利用者がいたのが原因。広報誌など一般の郵便物は転送されても、簡易書留の通知カードは対象外だ。
 富岡町はマイナンバー通知を見据え6月から広報誌で現住所を町に申告するよう協力を求めてきたが十分に浸透していない。
 他の全域避難の自治体では、浪江町は約1万8800通のうち約100通、双葉町は約6300通のうち約200通、飯舘村は約2900通のうち約20通、葛尾村は15通がそれぞれ戻ってきている。

■「今からでも」
 富岡町は返送されてしまった通知を送付した住所に、今度は一般郵便でマイナンバー通知のために現住所を町に教えてくれるよう働き掛ける。郵便局の転送サービスを活用する作戦だ。それでも現住所が判明しない場合、町が把握している電話番号に連絡し、直接聞く考え。しかし、電話番号の申告がなかったり、番号も変更されていることも想定され、さらなる方策を模索している。
 町は1日からICチップ付きの「個人番号カード」の交付申請手続き窓口を設けており、今後、返送通知の対応が業務に重なる。植杉昭弘住民課長(52)は「今からでも遅くないので、まだの人は現住所を申告してほしい」と切実に訴える。
 大熊町は1件ずつ電話連絡して転居先を聞き郵送するか、近距離ならば取りに来てもらうよう頼んでいるという。担当者は「住民課10人と中通り事務所、いわき事務所の臨時職員計4人を合わせ14人で対応しているが、年明けまで続くのも覚悟している」と頭を抱えた。

■背景
 マイナンバー制度の通知カードの送付先は原則として住民票の住所となっている。ただし、政府は震災や原発事故の避難者などは、「やむを得ない事情」(政府担当者)として特例で避難先への送付を認めている。一方、避難生活の長期化に伴い、仮設住宅や借り上げ住宅から避難先で建てたり購入したりした家に移るケースが相次ぐなど、現住所の変更も多い。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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