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沿岸漁業、水産資源管理で年度内に県が指針

 県は東京電力福島第一原発事故による沿岸漁業の操業自粛で水産資源が増え、大型化している実態を踏まえ、年度内に新たな水産資源管理・利用方針を策定する。資源管理をしない場合、供給過剰による値崩れや乱獲につながる懸念があるためだ。今後の試験操業拡大と本格操業再開を見据え、漁獲と安定収入のバランスをどう構築するかが焦点となる。
 県の方針案は、操業回数や時間などを示す漁獲努力量の抑制、漁獲サイズの設定、流通と連携した漁業モデルの構築-の3つの柱からなる。
 県の試算では、原発事故による沿岸漁業の操業自粛で水産資源が増えているため、操業回数や時間を大幅に減らしても原発事故前の漁獲量・金額を達成できると分析している。
 さらに、水産資源の大型化に伴い、漁獲対象を従来より大きく設定すれば、収入増が見込めるほか、選別作業などの手間を削減できるという。資源の保護にもつながる。例えば、「常磐もの」の代表格として人気を誇っていたヒラメについては東日本大震災と原発事故前、30センチ未満は取らないよう規制していたが、35センチや40センチに規制を拡大した場合、単価の上昇で年間漁獲金額は数1000万円増えると試算している。
 漁獲努力量の抑制で、週休2日制や輪番制など効率的な働き方を実践でき、漁業を離れている漁師の現場復帰や新たな担い手の確保にもつながるとみている。
 県は今後、有識者からの助言を受けて魚種・漁法ごとに方針案を漁業者に示す。原発事故前の漁獲量を実現できる漁獲努力量も併せて提言する方針。漁業者の理解が得られれば、試験操業の段階から新たな資源管理・利用策を導入したい考えだ。
 一方、試験操業では、複数の仲卸業者による競りではなく、個別に販売価格を交渉する相対取引が行われている。競りに移行した場合、風評による価格の下落も懸念され、資源管理と市場需要の調整も課題になる。
 放射性物質モニタリングの徹底はもとより、流通業者や加工業者と連携した活魚での高鮮度水揚げや船上箱詰めなどで付加価値を高める工夫も求められる。県水産課は「実際に競りをやってどれくらいで売れるかも含めて試験し、本格操業に備えたい」としている。
 沿岸漁業をめぐっては、原発事故前の年間漁獲量は約2万5千トンに上っていたが、平成26年は740トンと1割に満たない。約200あった魚種は、24年6月から始まった試験操業で67種まで回復している。着業隻数は今年10月で498隻で、事故前の約3割となっている。

※漁獲努力量 漁獲するために投入される資本や労働力などの量。具体的には漁船の隻数、漁具数、操業回数・日数などで表される。

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