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住民帰還わずか 追加除染求める声 南相馬「特定避難勧奨」あす解除1年

避難先の仮設住宅で、各地の放射線量を伝える新聞に目を落とす女性

 東京電力福島第一原発事故に伴う南相馬市の特定避難勧奨地点の指定が解除され、28日で1年を迎える。放射線への不安などから、いまだ帰還しない住民は多いとみられる。住民からは追加除染などを求める声が上がる。

 「いつ帰るかはまだ決まっていない」。特定避難勧奨地点だったわが家から南相馬市原町区の仮設住宅に避難を続けている女性(37)は、線量を伝える新聞を見ながらため息をついた。解除から1年が過ぎても、現実は何も変わっていない。
 除染で自宅敷地の線量は年間積算線量が20ミリシーベルトを下回る基準まで下がったが、雨どいの近くなど一部では毎時約4マイクロシーベルトを示す場所もある。子どもたちは「家に帰りたい」とせがむが、最も幼い三男は5歳。自宅だけでなく、宅地周辺の線量の影響にも不安を感じ、帰還には踏み切れない。
 避難で両親と世帯が分かれ、水道、電気などの料金負担は増した。しかし、精神的損害賠償は平成27年3月で打ち切りになった。「原発20キロ圏内の避難者と状況は同じなのに」。政府の対応に疑問を感じている。
 いったん、避難はしたが現在は自宅に戻っている60代男性は「同じ地区から避難した若者はみんな戻ってきていない」と肩を落とす。地域の未来を思うと先が不安になる。「徹底的な除染をしないと不安が解消されず、人は戻らないだろう」と話した。
 南相馬特定避難勧奨地点地区災害対策協議会の菅野秀一会長(75)は「若い世帯はまったく戻っていないし、高齢者世帯でも解除後に戻ったのはほんのわずか」と厳しい表情。「追加除染を国に求めているが、なしのつぶてだ。解除前よりも解除後のケアを重要視してほしい」と注文を付ける。
 市や政府は解除後の帰還の実態を把握できていない。市危機管理課の担当者は「避難の時に世帯が分離したこともあり、調べるのは困難」とする。帰還の促進についても、「現状ではそれぞれの世帯の意思を尊重するしかない」と話す。原子力災害現地対策本部の担当者は「今後も不安払拭(ふっしょく)に努めたい」と述べるにとどまった。


※南相馬市の特定避難勧奨地点 東京電力福島第一原発事故に伴い、年間積算線量が20ミリシーベルトを超えるとして、平成23年7月から11月にかけて橲原、大原、大谷、高倉、押釜、馬場、片倉の7行政区、142地点(152世帯)が指定された。政府は年間積算線量が20ミリシーベルトを下回ることが確実になったとし、26年12月28日に指定を解除した。

カテゴリー:福島第一原発事故

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