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【避難区域中心】県、自腹で除去へ 原発事故影響河川に土砂堆積 国に負担要望実現厳しく

川底に土砂がたまっているのが確認されている飯舘村の新田川

 東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域を中心とした約70の県管理河川で、川底に土砂が大量にたまっている場所が確認され、県は梅雨時期前までに除去する方針を固めた。原発事故後、放射線量が一定基準を上回った場合、取り除く作業を見送ってきたためで、関係町村から早急に対応するよう求める声が上がっていた。県は環境省に費用負担を求めているが、実現は厳しい状況だ。


■氾濫の恐れ
 大量の土砂の堆積が確認されたのは避難区域が設定された相双地方をはじめ、県北、県中地方の県管理河川。水の流れが緩やかになる地点やカーブ、川幅が広がる場所にたまる傾向があるという。
 県は以前から、管理する各河川で土砂を定期的に除去してきた。原発事故後は放射性物質の拡散を防ぐ目的で、多くの市町村が除染の目標とする毎時0.23マイクロシーベルト(年間1ミリシーベルト)以上の放射線量が土砂表面から測定された場合、作業を見送ってきた。このため、比較的線量が高い地域の河川で、蓄積されたとみられる。
 土砂がたまり続けた場合、豪雨などの際に河川が氾濫する恐れがあるとして、川内、双葉、葛尾、飯舘の4町村は県に早急に除去するよう求めている。
 昨年9月の関東・東北豪雨の際、飯舘村の新田川は水位が上昇し、周辺に置かれていた除染廃棄物入りのフレコンバッグ(除染用収納袋)400袋以上が流失した。水かさが増したのは川底の土砂が増えていたためと村はみている。

■具体策示さず
 県は原発事故の原因は国に責任があるとして、環境省に0.23マイクロシーベルト以上が計測された県管理河川の除染を求めてきた。
 同省は「川底に土砂がある場合、水が放射線を遮り、住民の健康に影響を与えることはない」として応じない方針だ。
 県は現状打開の見通しは立たず、水量の増える梅雨時期になれば土砂の積もっている場所が氾濫する可能性もあるとして、独自の財源で除去する方向となった。ただ、同省に引き続き費用負担を求めていく。
 地元町村が防災面から土砂除去を求めていることについて、同省は「何らかの方法を検討したい」としているが、具体策は示していないという。
 一方、河川行政を担当している国土交通省は「川があふれるのを防ぐ対策が必要になる」(河川環境課)と指摘している。

■「時間はない」
 県は今月から、川底で土砂の多い場所が確認された約70の河川を対象に堆積量や放射性物質濃度の調査を開始した。結果を基に除去する場所を決める。
 川から引き上げた土砂の保管法やリサイクルする際の線量基準について環境省と協議を進める。県河川整備課の相沢広志課長は「梅雨時期まで残された時間は少ない。除去後の保管法などを早急に検討したい」と話している。


【背景】
 県管理河川は1級、2級合わせ491ある。このうち、県北、県中、相双地方の約70の河川で部分的に川底に土砂が大量にたまっているのが確認されている。中通りを流れる国管理の阿武隈川は水流が速いため、著しく堆積している箇所はないという。一方、県はため池約50カ所で除染の実証実験を行った。このうち約30カ所で水底の土壌を除去したが、約20カ所で地元の仮置き場に空きスペースがないことなどから、除去土壌をフレコンバッグに入れ、ため池の脇に保管している。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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