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【県の災害公営住宅入居者】65歳以上 半数超 震災から4年10カ月 見守り体制強化課題

 県が整備している東京電力福島第一原発事故に伴う避難者向け災害公営住宅の入居者のうち、65歳以上の高齢者は53・6%と半数以上を占めることが11日、県の調査で分かった。宮城、岩手の両県に比べ、約20ポイント高い。県は原発事故で家族の分断が進んだことなどが要因とみている。東日本大震災と原発事故から11日で4年10カ月。今後、整備がピークを迎える中、高齢者の見守り体制をどう強化するかが課題となる。

■突出
 昨年12月28日現在の災害公営住宅の整備状況は【図】の通り。4890戸の建設計画に対し、955戸が完成した。
 入居者数は昨年12月14日現在、1264人で、このうち65歳以上は677人。入居希望者が県に提出した申込書から、677人のうち3割程度が一人暮らしとみられる。
 一方、岩手県は入居者の高齢化率が33・7%(昨年6月30日現在)。宮城県は県営の災害公営住宅を整備していないが、仙台市の市営災害公営住宅は35・0%(同12月14日現在)で、県内の高齢化率は突出して高くなっている。

■家族の分断
 県によると、避難区域が設定された双葉郡など浜通り地域は三世代同居などの大家族が珍しくなかった。避難先の都市部では、全員一緒に暮らせる広い家を確保することが容易ではなく、家族の分断につながったとみている。
 さらに、若い世代は借り上げ住宅に入居したり、避難先で住宅を購入したりするケースが多い。一方、高齢世代は古里への帰還を希望する傾向が強い。仮設住宅に暮らす複数の知人同士で入居申し込みができることもあり、帰還までの仮住まいとして災害公営住宅に転居する例が目立つという。
 災害公営住宅の整備計画では、今後、平成29年度末までに3935戸をいわき市や南相馬市に整備する。県建築住宅課は「5年、10年後の高齢化率はさらに高まるだろう」と分析する。

■活力低下懸念
 県は、高齢化が進めば、自治会活動などが低調となり、住民同士のつながりが希薄になる可能性があるとみている。外出が減って引きこもりがちになると体調を崩し、要介護者の増加につながる懸念もある。
 避難者支援に当たっている福島大行政政策学類の鈴木典夫教授(地域福祉)は「コミュニティーの維持には活力が大切になる。居住者同士が交流したり、避難先の地域と積極的に関わったり、溶け込んだりする機会をつくることが重要だ」と指摘する。
 県は仮設住宅や借り上げ住宅で避難者のケアに当たる生活支援相談員を配置している。しかし、27年度は400人の募集に対して活動しているのは274人(昨年12月1日現在)にとどまっている。災害公営住宅への転居が進んだことで相談員の活動範囲が広がっており、県は相談員のさらなる確保に努める。

【背景】
 県の計画では、東京電力福島第一原発事故の避難者向け災害公営住宅を平成29年度末までに15市町村に4890戸建設する。昨年12月28日現在、8市町村に955戸が完成した。県は当初、28年度末までに整備する計画だったが、用地交渉の難航などから完了時期を一年先延ばした。28年度は最大となる2211戸、29年度は1484戸を整備する予定。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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