東日本大震災

「福島第一原発事故」アーカイブ

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復興の現状発信強化 被災地体験型 アプリ、ルートづくり

 県は平成28年度、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の被災地を訪れる人に震災の記憶と復興の現状を伝える取り組みを強化する。市町村などが保有する震災当時の写真などをデジタルアーカイブ(記録庫)化してスマートフォンなどの情報端末で被災地の過去と現在、未来を体験できるアプリを開発する。今後の避難指示解除や32(2020)年の東京五輪・パラリンピックを見据え、アプリを活用した視察ルートづくりも進める。

 デジタルアーカイブの取り組みは震災と原発事故の影響が強かった相双地方など浜通りを中心に始める。津波で被災した沿岸部や損壊した街並みなど震災当時の写真や動画をはじめ、語り部ボランティアの音声、被災した企業の資料などを関係市町村、民間の協力で収集する。
 県は収集した資料を基に、スマートフォンなど情報端末向けのアプリを28年度内に開発し、提供を開始する。関係市町村などと今春にも検討会を設置する。
 開発するアプリの構想では、沿岸部などの被災地の特定の場所でスマートフォンをかざすと、AR(拡張現実)と呼ばれるコンピューター技術で5年前の被災状況や将来の復興拠点整備状況などの画面が映し出され、目の前の現地の様子と比較できるようにする。現在の海岸線の画像に震災当時の津波の高さを立体的に表示し、津波の教訓を伝えることも想定している。
 一部の情報はどこでも視聴可能とするが、現地を直接訪れることで、より体験的に学べる内容にする。県が32年度の開所を目指している「アーカイブ拠点施設」の展示資料を端末で閲覧できるよう検討する。
 政府は原発事故に伴う避難指示(帰還困難区域を除く)を29年3月までに解除する方針。32(2020)年の東京五輪の開催で、被災地を訪れる外国人の増加が見込まれる。県はアプリを活用した視察ルートをつくることで、震災と原発事故の風化を防ぐとともに、復興の現状を正しく知ってもらう考えだ。
 関連経費は28年度当初予算案か、27年度2月補正予算案に計上する方針。

■個人での来訪 対応に難しさ
 3月11日で震災と原発事故から丸5年を迎える中、風化対策が課題となっている。現在、いわき、南相馬両市や広野町などの被災地を訪れる「スタディツアー」、教育旅行などが増えている。留学生や海外マスコミ関係者が訪れるケースもある。ただ、団体が主な対象で、案内者不足などの点から個人向けまでは対応しきれないのが現状だ。
 県や市町村の相談窓口では、個人向けの学習プログラムへの問い合わせが増えているという。
 県は「今は多くの人がスマートフォンなどの情報端末を使う。アプリを開発することで、誰でも震災の教訓を学べると同時に、現地に足を運んでもらうきっかけづくりになる」としている。

カテゴリー:福島第一原発事故

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