東京電力福島第一原発の格納容器内のロボット調査をめぐり、国と東電は今年度内に予定していた1号機の水中調査の手法を見直し、平成28年度に延期する。格納容器内の堆積物が予想以上に多く、従来の計画では困難と判断した。
変更後の案は【図】の通り。昨年4月の格納容器内調査と同様に、配管からロボットを投入し、格納容器内の1階を時計回りに進める。金網状になっている床面の隙間から線量計の付いた水中カメラを降下させ、地下階の溶融燃料(燃料デブリ)の状況を確認する。放射線量などを基に堆積物の下にある燃料の広がりなどを推定する。
ロボットは4月の調査で開発した形状変形型を活用し、水中カメラなどを取り付ける考え。
当初は、ロボットを1階の開口部から直接汚染水のたまった地下階に投入し、水中を走行させて調査する計画だった。しかし、事前調査の結果などから床面の堆積物が舞い上がり、カメラの視界が確保できなくなることが予想され、走行は難しいことが分かった。
計画変更に伴い、東電などは放射線量から溶融燃料の状態を推定するための方法の策定や、金網の隙間から水中に降ろすことができるセンサーの開発などを急ぐ。
政府は平成29年6月にも各号機の溶融燃料の取り出し方針を決める予定で、経済産業省資源エネルギー庁の担当者は「現時点で工程への影響はない」としている。
■2号機、ロボット調査工程見直し
東電は28日、福島第一原発2号機で今年度中に予定していたロボット調査の工程を見直すと発表した。ロボット投入口付近の放射線量が高いためで、28年度以降になる見通し。
除染を続けるが、放射線量は最大で毎時約8シーベルトで、目標とする毎時100ミリシーベルトまで低減できていない。東電は「28年度中の早い時期に実施したい」としている。
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