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【震災から5年】「社会基盤」 港湾の利用機能拡大


■小名浜港 国際物流拠点目指す 大型商業施設出店、小名浜道路整備など にぎわい創出

 震災の揺れと津波で、貨物を取り扱う34の主要公共岸壁が使用できなくなったいわき市の小名浜港。現在は国際的な海上輸送ネットワークの拠点を目指し、東港地区で国際物流ターミナル整備事業が進む。
 事業は平成30年度中の完了が目標だ。23年5月に国際バルク戦略港湾に選定され、昨年1月には東港地区で世界最大級の石炭貨物船が着岸可能な水深18メートルの耐震強化岸壁の造成工事が始まった。東港と陸地を結ぶ橋が整備されており、今年夏ごろ全長927メートルがつながる予定だ。
 震災後、港を取り巻く環境は大きく変化した。大型商業施設の出店などでにぎわい創出を目指す小名浜港背後地再開発、港と常磐自動車道を結ぶ小名浜道路の整備なども行われている。昨秋には大手住宅メーカーが臨港区域内で物流センターの建設を始めた。
 同港のコンテナ貨物取扱量(国際標準の20フィートコンテナ換算、空のコンテナを省く)は震災前年の22年、1万4967個だったが23年は4869個に落ち込んだ。26年には1万3645個まで回復した。27年度からは港湾管理者の県が埠頭(ふとう)の一部を官民出資会社に貸し付け、民間の視点を港湾運営に生かす取り組みも始まった。
 
 ■10万トン級船舶 入港が可能に 相馬港
 
 相馬港は震災の津波で岸壁が壊れ、地盤沈下するなど甚大が被害が出た。船舶が利用する13のバース(公共岸壁)の復旧工事が終わり、現在は野積み場や緑地などが整備されている。
 新地町に液化天然ガス(LNG)基地が建設されることから、国土交通省は相馬港に大型LNG船受け入れ施設の整備工事を進めている。航路と泊地を今年度中に設ける。水深10メートルの4号埠頭沖合約25ヘクタールの海底を堀り、水深を14メートルとする。海底から掘り起こした約120万立方メートルの土砂は4号埠頭の埋め立てに利用する。現在、入港できるのは1万トン級の船舶だけだが、整備により10万トン級も利用できるようになる。
 国交省は相馬港の沖防波堤(全長2730メートル)の復旧工事も進めている。平成29年度末に完了する見通しだ。

 ■県管理の公共土木施設復旧事業 32年度内にも完了 津波で被災
 
 震災の津波で被災した県管理の公共土木施設(帰還困難区域を除く)の復旧・復興事業は平成32年度に完了する見通しとなっている。
 津波で被災した沿岸部の各事業の完了見通しは、9分野のうち、排水機場と港湾・漁港、道路、治山施設が30年度、河川、海岸、防災緑地が31年度、津波被災地道路と海岸防災林が32年度に終わる予定。県は全519事業のうち、30年度までに97%に当たる503事業が完成するとしている。
 帰還困難区域内の事業着手は、国による除染の実施が前提となる。県は双葉、大熊、富岡各町などと協議した上で、帰還に向けて必要となる道路などを除染するよう国に求める。
 津波被災地の復旧・復興事業に当たっては予算確保に加え、作業員や資材の不足が課題となっている。県は独自の取り組みとして、工事の概算金額など詳細な内容を含んだ発注見通しを早期に公表し、業者が作業員や資材を準備しやすくなるよう対応する。
 一部地区で地権者の所在などが不明で難航していた用地確保については、南相馬市原町区の小沢地区海岸堤防復旧など複数の工事で土地収用法を適用する。
 沿岸部の10市町が管理する公共土木施設の復旧・復興事業は、いわき、相馬、南相馬、広野、楢葉、新地の各市町がおおむね29年度までに完了する予定。沿岸部に帰還困難区域を抱える大熊、双葉両町は除染が進んでいないため災害査定ができず計画が立てられない状況だ。浪江、富岡両町は完了時期を未定としている。
 
 ■漁港整備着々と
 
 震災により被害を受けた沿岸部の漁港では本格操業の開始に向け、復旧工事が着々と進んでいる。
 
 ■いわき市
 
 久之浜漁港では荷さばき施設の新築工事が行われ、今年夏ごろに完成する予定だ。市内屈指の漁獲高と漁船数を誇った同漁港は震災の津波により、壊れた漁船や車、がれきに一帯を覆われた。
 国、県の補助を受けて漁船の再建が進み、試験操業では現在、1日当たり約300キロから500キロの水揚げがある。
 市内では四倉、小浜の両漁港で岸壁などの復旧工事が行われている。勿来、豊間の両漁港は既に完了した。
 
 ■相双地方
 
 釣師浜(新地町)、松川浦(相馬市)、真野川(南相馬市)の3漁港では既に岸壁の復旧が終わり、試験操業の基地となっている。現在、平成29年度の完了を目指し防波堤や道路などの復旧工事が進む。
 一方、東京電力福島第一原発から半径20キロ圏内の請戸(浪江町)、富岡(富岡町)の両漁協では港湾内のがれき撤去や岸壁、防波堤の整備が始まった。いずれも30年度内の完了を目標にしている。

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