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【震災から5年】「環境再生」 除染加速 復興の鍵 目標時期まで1年余

■国直轄 6市町村 完了
 環境省が東京電力福島第一原発事故に伴う国直轄除染と市町村除染の完了時期として掲げた平成29年3月まで、あと1年余となった。居住制限、避難指示解除準備の両区域で行われている直轄除染は対象11市町村のうち6市町村で終えたが、一部で「十分に放射線量が低下していない」として再除染を求める声が上がる。市町村除染では住宅の実施率が7割を超えているが道路は5割を下回るなど、ばらつきが出ている。

 帰還困難区域を除く避難区域の宅地、農地、森林、道路を対象とした国直轄除染は昨年12月末現在、田村、川俣、楢葉、川内、大熊、葛尾の6市町村で完了した。
 国直轄除染の進捗(しんちょく)状況は【表】の通り。環境省福島環境再生事務所によると、南相馬、富岡、双葉、浪江、飯舘の5市町村は実施計画の策定が遅れたり、借り置き場の確保に時間を要したりした経緯がある。
 飯舘村は宅地の除染を優先して進め、昨年6月に作業を終えた。森林は86%、農地は50%、道路は45%となっているが、年末までに終了する見通しだという。
 南相馬市は道路が26%、農地が31%、双葉町は道路が16%、森林が33%、浪江町は宅地が34%、農地が36%、森林が47%とそれぞれ50%を下回っている。環境省は南相馬、浪江、富岡の3市町で今年度内に宅地を完了させ、28年度内に残りを終えたい考えだ。
 双葉町沿岸部の避難指示解除準備区域にあり、町が復興拠点として位置付けている両竹、浜野両地区では今年度内に除染を完了させる。
   ◇    ◇
 南相馬市は居住制限、避難指示解除準備の両区域の解除時期について4月1日を念頭に置いていたが、数週間延期する方向で国と協議している。
 宅地除染は今月中に完了する見通しだが、除染廃棄物の住宅周辺からの移動、除染完了に関する住民との了解協議、再除染の要請への対応で相当の時間を要する見通しとなったためだ。20日から開く市民説明会で国が解除時期を示す。


■線量下がらないケースも 再除染を要望
 国直轄除染をめぐっては、住宅周りなどで一度実施しても放射線量が十分下がらないケースが確認されている。このまま放置すれば住民の不安は消えず、将来の帰還にも影響するとして、国に対応を求める動きが出ている。
 有識者でつくる富岡町除染検証委員会が除染を終えた町内の住宅地を調査した結果、雨どいや側溝などで周辺に比べ線量が高いケースがあった。委員会の報告を受けた町は環境省に対して、再除染を実施するよう要望した。
 飯舘村は除染の長期目標を「年間1ミリシーベルト以下」としているが、作業を完了した複数の住宅でこれを上回る放射線量が計測された。環境省は雨どいの下など局所的に線量が高い場所で、深く土砂を取り除く方針だ。


■市町村 実施率にばらつき 住宅、公共施設進み 道路は5割を下回る
 最も発注件数の多い住宅の進捗(しんちょく)率は73・9%で、前年同月を28・1ポイント上回った。全体計画の計45万2409戸のうち、27万3237戸で完了した。調査の結果、放射線量が市町村の設けた基準を下回ったため、6万1274戸で実施を見送った。公共施設等は住宅より高く、86・1%となっている。
 農林業関係は樹園地の99・1%が最も高く、牧草地82・1%、水田78・1%、畑地65・8%、森林53・9%と続いた。
 一方、道路は5割を下回り46・4%で最低だった。各市町村とも人の滞在する時間が最も長いとみられる住宅、公共施設を優先して進めている結果だという。借り置き場のスペースが限られる中、道路除染で出た廃棄物は住宅とは異なり現場保管できないため、後回しになる傾向がある。
 汚染状況重点調査地域には県内39市町村が指定されている。このうち、36市町村が除染計画を策定し、作業を進めている。

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