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「霞が関」の都合(7) 責任の所在見えず

 「本当に組織として機能するのか。看板倒れにならないといいが」。川俣町で建設業を営む大内秀一(68)は復興、環境、農林水産3省庁による「福島の森林・林業の再生のための関係省庁プロジェクトチーム(PT)」が手掛ける森林再生の行く末を案じる。
 大内は避難指示解除準備区域の山木屋地区に自宅があり、かつて地区自治会長を務めた。森林除染を求め、これまで何度も環境省に要望書を届けた。その都度、大臣は変わった。「森林除染は長期戦。誰が最後まで責任を持って取り組むのか」。旗頭が次々と入れ替わる霞が関の体制を懐疑的にみる。

 大臣は政治状況などに応じて顔触れが頻繁に代わる。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故発生後の5年間で復興相に就いたのは4人、環境相は7人、農林水産相は6人を数える。
 PT発足時に県内の森林再生へ強い意欲を語った3省庁の大臣もいつ交代になるか分からない。今年の夏に参院選を控える。同時に解散総選挙が行われるとの見方もあり、先行きは不透明だ。次の内閣が森林除染の考え方を引き継ぐとは限らない。
 森林再生事業は数十年単位での取り組みが予想されるが、復興庁担当者は「森林再生の方針を定めるだけの組織なのか、進行管理もするのかは明確になっていない」と明かす。PTの設置期間すら決まっていないのが現状だ。

 環境省の担当者はPTの主管省庁を「省庁間に横串を指す復興庁の役割」と語った。一方で復興庁の担当者は「どこが主導的役割を持つかは決まっていない」と説明する。責任の所在も宙に浮き、県幹部は「本気度が問われている」と指摘する。
 除染により生じた汚染土壌を一時保管する中間貯蔵施設をめぐり、政府は搬入開始から30年後の県外最終処分を法制化した。森林再生についてはどう県民に約束し、担保するのか。現時点で財源を裏付ける法律などは見当たらない。復興事業の司令塔として設置された復興庁の存在意義が問われる。(敬称略)

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