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「霞が関」の都合(8) 司令塔なり切れず 消極姿勢の復興庁

1月の復興推進委員会であいさつする高木復興相。復興庁のリーダーシップが求められている

 森林除染を求める県内の関係団体の要望に、歴代の復興相は一定の理解を示してきた。しかし、対応は環境省に委ねた。
 その結果、昨年12月、環境副大臣の井上信治が「森林を全て除染するのは困難」と発言。地元の反発を受け環境、農林水産、復興3省庁のプロジェクトチーム発足に至ったが、関係団体からは復興庁の消極的な姿勢に不満の声が上がる。
 復興相には他省庁の閣僚に意見する勧告権が与えられている。前例のない被災地の再生を使命とするためで、受け手は勧告を尊重する義務がある。各省庁に与える影響は絶大だが、平成24年2月の復興庁発足以来、「伝家の宝刀」は懐に収められたままだ。
 復興庁事務次官の岡本全勝は「権限は後ろでちらつかせるもの。よほどのことがない限り、使うことはあり得ない」と断言する。強権を盾に各省庁と交渉することが、最終的には復興事業を着実に前進させるとの考えだ。あくまでも最後のよりどころだという。

 勧告権を使わない背景には復興庁が抱える特有の事情も見え隠れする。
 復興予算を32年度までの10年間で32兆円確保し、予算の大半を占める災害復旧事業や除染などの費用の必要性を精査して財務省に概算要求している。予算要求の取りまとめは霞が関内で力の源泉となる。しかし、庁内を構成する700人弱の職員は他省庁からの寄せ集め。強権を発動すれば出身省庁との関係が悪化し、業務が円滑に進まなくなるケースも想定される。「あつれきは避けたい」(復興庁関係者)のが本音だ。

 1月4日の年頭記者会見で、復興相の高木毅は今年のテーマを問われると「省庁の縦割りを排除する」と力強く宣言した。
 縦割り解消は歴代の復興相が繰り返し掲げてきた課題だ。復興庁発足から4年が経過しても、この言葉が飛び出すのは他省庁に対してのリーダーシップが今もって確立していない証左とも取れる。
 県幹部は「省庁間を調整し、一つにまとめることが『司令塔』を掲げる復興庁の本来の姿ではないか」と憂慮する。(敬称略)

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