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【震災から5年】「福島第一原発 変わる現場」 作業環境 大幅改善

(上から時計回りに)320席ある大型休憩所の食堂、日替わりで提供される食事メニュー、休憩所内に設置された飲料水の自動販売機=2月5日

 東京電力福島第一原発の廃炉現場が変わってきている。暑さや息苦しさで作業を難しくする全面マスクの着用エリアは縮小。給食センターや休憩所ができ、作業員は温かい食事を取って休めるようになった。炉心溶融が起きた1~3号機の建屋に残る核燃料の取り出しに向け、ロボットや技術の開発が進む一方、現場では1日約7000人による廃炉作業が続いている。
 
 福島第一原発の正門近くにある大型休憩所は作業員の労働環境改善のために昨年5月に完成した。9階建ての双葉郡内で一番高い建物で、3階には320席の食堂がある。平成27年5月に運用が始まり、約9キロ離れた大熊町の「福島給食センター」で調理した温かい食事が日替わりで提供されている。
 食堂のほか、休憩や打ち合わせスペース、売店などを完備。廃炉作業の前線基地となっている。
 正門近くでは新事務本館の建設が進んでいる。完成は夏ごろを予定している。
 震災で当時の事務本館が使用できなくなり、社員は重要免震棟と福島第二原発に分かれて仕事をしていた。その後、26年10月に鉄骨2階建ての新事務棟が完成。社員が一つの建物に集まることができるようになり、社員間の情報共有やトラブル対応の迅速・円滑化につながった。
 新事務本館は鉄骨3階建てで、広さは新事務棟の1・6倍。人員や書類など物品の増加に対応できるように設計している。
 4号機建屋の南西にある雑固体廃棄物減容処理建屋。壁には津波が押し寄せた跡が黒く残る。構内は片付けが進み、津波の痕跡はほとんどなくなってきている。
 線量が低下した場所では軽装で歩く作業員の姿も見られる。
 
 ■大型休憩所ルポ 温かい食事 現場に活力
 
 5日午前10時すぎ、大型休憩所の3階にある食堂は、すでに食事のピークを迎えていた。浜通りは午後になると風が強まり作業がしにくくなるため、未明から午前中のうちに仕事を済ませる作業員が多いのだという。
 この日のメニューは鶏南蛮のタルタルソースかけ定食、アジの辛味焼き定食、揚げ麺の野菜あんかけ、鶏めし丼、カニクリームコロッケカレーの5種類。東電関係者が「カレーは1日たりとも同じスパイスの日はありません」と説明してくれた。
 厳しい肉体労働を支える食事はボリューム、カロリー、塩分のいずれも多め。コメをはじめ、県産品をなるべく多く使っているという。値段は380円と飲み物を買ってもワンコインで済む計算だ。
 完成前は持ち込んだ冷たい弁当やおにぎりを食べていた。十分な食事スペースもなかったという。協力企業の男性作業員は「温かい食事を落ち着いてゆっくり食べられるのは非常にありがたい。作業の活力にもなる」と話した。談笑しながら食事を楽しむ作業員はリラックスした様子だった。
 4~7階は作業員の休憩スペースになっている。協力企業ごとにブースが仕切られており、作業員が本を読んだり、スマートフォンを操作したり、仮眠を取ったりと思い思いに時間を過ごしていた。
 フロアには自動販売機もあった。東電関係者は「普通の光景に見えるかもしれませんが、これが設置されたのは昨年です。仕事が終わってすぐに冷たいジュースが飲めるようになったのは最近なんです」と話した。
 廃炉作業は30~40年も続くとされる。作業を支えているのは過酷な現場で働く人々だ。今後、一層の労働環境の改善が必要だと感じた。(本社報道部副部長・渡部総一郎、本社報道部・菊池匡起)


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