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「霞が関」の都合(9) 二度手間の要望活動 ワンストップ機能せず いら立ち募る首長

昨年12月に復興庁を訪れ、復興相・高木毅(左)に要望事項を説明する伊沢(中央)

 双葉町長の伊沢史朗は昨年12月、要望書を手に東京・霞が関をひたすら回った。復興庁をはじめ内閣府、環境省、国土交通省、経済産業省、文部科学省、厚生労働省...。行く先々で「復興を町民に目に見える形で示したい」と訴えた。
 町が昨年3月に策定した「町復興まちづくり長期ビジョン」を実現するためには財源と長期的な支援体制が不可欠だ。政府の平成28年度予算に関連経費を計上させたい。予算案の閣議決定を前に、あらためて各省庁に理解を求めた。
 要望活動は午前10時前に始まったが、七府省庁を回り終えた時、官庁街は宵闇に包まれていた。伊沢は釈然としなかった。「(要望活動は)復興庁ができる以前と何も変わっていない」

 復興庁は「ワンストップで被災地の要望を受けて迅速に取り組む」(首相・野田佳彦=当時)との触れ込みで発足した。復興事業に対する県、市町村の要望や相談を一括して受け付ける窓口として福島復興局(福島市)を設置。さらに、被災12市町村を含む17市町村の役所・役場にも職員を常駐させている。
 しかし、ワンストップ体制が十分に機能しているとはいえない。県幹部は「結局は復興庁だけに頼っても問題は解決できない」と冷ややかな見方を示す。復興庁が独自の交付金事業で対処できない場合、関係する省庁の事業で対応せざるを得ないためだ。
 その上、未曽有の原子力災害に見舞われた市町村の要望は特殊で複雑化している。県が独自に実施した18歳以下の医療費無料化のように各省庁の既存事業の枠組みに合致しないケースもある。最終的に県や市町村の要望が受け入れられるか否かは、関係省庁の判断に左右される。

 県と市町村は1つの事業を実現するために復興庁と関係省庁に要望する「二度手間」を強いられている。そもそも原発事故の被害者である市町村が、責任を負うべき政府に、なぜ「お願い」しなければならないのか。「司令塔として復興庁は各省庁への関与を強めるべきだ」。市町村長の多くがいら立っている。
 不満の矛先は省庁にも及ぶ。避難区域を抱える市町村の担当者は「省庁は復興庁など眼中にないのではないか」と憤った。(敬称略)

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