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「霞が関」の都合(11) 担当者の交代 覆される事業計画

公道と民家の敷地を結ぶ未舗装の私道。山間部にはこうした道が多い

 避難区域を抱える町の復興担当職員は、未着手となっている復旧復興事業の一覧に目をやり、ため息をついた。頭を悩ますのは避難区域内の公道と民家の敷地を結ぶ私道の舗装化だ。復興庁の新しい担当者が難色を示し、着工の見通しが立たない。
 平成25年度、町は当時の復興庁担当者と協議し、私道整備などの事業構想をまとめた。舗装できれば遮蔽(しゃへい)効果で空間放射線量が下がる。生活環境の改善は住民の帰還意欲にもつながる。町は胸を張って構想を公表した。
 しかし、26年度に復興庁の人事異動で担当者が交代すると事態は一転した。後任が「舗装は個人の財産形成になる。税金の投入には適さない」と言い出した。町は再考を求めるが、現在も前向きな回答は得られていない。
 担当者の交代が時に復興事業の行く末を左右する。これが2年程度で異動する政府の人事システムによって繰り返される。

 別の町では、道路などの災害復旧費を算定し、国に負担金を請求するため復興庁担当者と関係書類の準備を進めた。資料はまとまったが、程なく交代した担当者がこれを却下。一年がかりで修正したが、再び担当者が代わり、見直しを迫られたという。
 町幹部は「新任者は被災地の特殊事情をはかれず、『霞が関』のものさしで判断する。これでは復興どころか復旧すら進まない」と短期異動の弊害を嘆く。
 このような現状に対し、復興庁は引き継ぎによる事業への支障が生じないよう細心の注意を払っているとの説明に終始する。

 市町村関係者からは「人事も問題だが、国の役人の考え方や意欲に左右される部分も大きい」との声も聞こえる。
 双葉郡の町には以前、ある復興庁幹部が週末になると足しげく通った。仮設住宅を訪れては住民に声を掛けた。「この人ならば...」と職員からも信頼を集めた。事業も円滑に進んだ。
 後任が町を訪れた姿を見た人はいないという。復興庁側から寄せられる情報も次第に減った。
 職員は当時を振り返り強調する。「復興への取り組みは長期にわたる。だからこそ人間関係が大事。自分たちの都合ではなく、被災地の都合を考えるべきだ」

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