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【震災から5年】「企業立地・事業再開」 誘致を進め 雇用確保 立地補助金637社指定 7584人の働く場生み出す

 企業の新増設の呼び水となる立地補助金は、これまでに637社が指定され、合わせて7584人の雇用につながっている。
 県の「ふくしま産業復興企業立地補助金」と国の「津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」の方部別採択件数は【表】の通り。
 ふくしま補助金は平成27年12月22日現在で446社を指定し、5305人の雇用を生み出している。
 津波補助金の指定を受けているのは同年11月27日現在で、2279人の雇用を創出した。
 このうち、新設件数はふくしま補助金で34社、津波補助金で66社、合わせて百社となっている。
 
 ■県商工会連合会長 轡田倉治氏に聞く 公共投資の維持 国に求める
 
 商工業者は東京電力福島第一原発事故による風評被害や事業再開などの課題を抱えている。県商工会連合会の轡田倉治会長(73)に産業再生に向けた現状や課題を聞いた。
 
 -県内の商工業者の現状をどう認識しているか。
 
 「震災後の県内の経済を支えてきた建設業をはじめ、復旧・復興に関する需要は業種や地域にもよるが、ピークを過ぎた。県内景気はそう遠くない時期に震災前よりも冷え込むのではないかと懸念している。製造業についても、航空・医療などの新たな産業分野で地方中小企業が仕事を得るのは容易ではない。政府は平成28年度から復興・創生期間に移行するが、当面は公共投資の維持などを国に要望していく」
 
 -東電は商工業者向けの営業損害賠償をめぐり、昨年6月に新たな賠償方針を打ち出した。事業者の間に、この方針への戸惑いが出ていると聞く。
 
 「新方針は避難区域外の営業損害について直近の年間逸失利益を基準に、事故との因果関係を認められる減収相当分として年間逸失利益の二倍を支払う方式だ。請求した事業者から、従前に比べ『詳細な資料提出を求められた』、『支払いが認められない』などの困惑が所属する経済団体に寄せられている」
 
 -連合会はこうした状況を受け、1月に県商工会議所連合会、県中小企業団体中央会と合同で東電に確実な賠償を求めた。
 
 「事業者の不満や困惑は東電の説明不足が招いた。支払いの基準や姿勢を示すように東電に対し、あらためて要望している。国が自立支援に軸足を移していることや、賠償が永遠に続くわけではないことは十分理解しているが、真摯(しんし)な対応を求めたい」
 
 -28年度も避難指示が解除される動きが続く。解除後の地域の再生に地元商工業者が担う役割は大きい。事業再建をどう後押しするか。
 
 「会員事業者や地域の利益にかなうことが商工会などの経済団体の使命だ。一つでも多くの会員が事業を再開できるよう支援する。避難区域では福島相双復興官民合同チームが約8千事業者を対象に聞き取りを進めている。事業者の補助金申請の支援などは各商工会職員が担うことになるだろう。遅滞なく作業を進めるために、合同チーム側に作業の進み具合や成果を報告するよう求めていく。各商工会の職員には書類作成能力を高めるよう指示している」
 
 くつわた・くらじ 須賀川市出身。須賀川高卒。くつわた商店社長、ヤップ工業社長。旧岩瀬村職員を経て昭和58年から岩瀬村議を5期務めた。平成12年から岩瀬商工会長。24年に県商工会連合会長に就いた。東北六県・北海道商工会連合会連絡協議会長も務めた。73歳。
 
 ■医療産業 集積進む 手厚い補助金など後押し
 
 県復興計画で重点に掲げる医療関連産業の集積が進んでいる。背景には企業立地補助金のほか、研究開発の初期段階からの補助金、事業化を支援する補助金など手厚い後押しがある。
 医療・介護ロボットや一般医療機器の開発、試作、臨床研究、治療などの経費を補助する「ふくしま医療福祉機器開発事業費補助金」の実績は1月末現在で、58件(総額約70億円)に上る。
 実用化にめどが付いた機器の量産に向けた「医療・福祉機器実証・事業化支援事業費補助金」を活用した工場の新設・増設は14件(総額約32億円)。
 厚生労働省によると、県内の平成26年の医療機器生産額が前年比58億円(4・7%)増の1303億円と過去最高を更新し、前年に続き全国3位。1位は静岡県、2位は栃木県。
 
 

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